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変わりゆく北海道の鉄路を記録する旅 1日目⑫ 721系F-1009編成と久々の再会
現在お届けしているシリーズ企画「変わりゆく北海道の鉄路を記録する旅」。
一般的に「北海道の鉄路≒JR北海道」という先入観があってか、北海道の鉄道事情は「衰退している」イメージがどうしても付きまといがち。
1日目のレポートも、そんなネガティブな面を取り上げておりました。
しかし
JR北海道だけが北海道の鉄道ではない!!(札幌市では)
と、あえて文字を大きくして言わせていただきましょう。
北海道の鉄路は「衰退」ばかりではなく、着実に「進歩」も遂げております。
そんなわけでやって来たのが
4プラ前でございます。
「4プラ」ってのは正面にある「4丁目プラザ」というビルの名前です。
この「4プラ前」は地下鉄南北線大通駅の南側に位置し、北海道で一番地価が高い場所として有名であり、周囲には様々な商業施設がひしめき合うまさに「札幌のど真ん中」というべき場所なのです。
そんな「4プラ前」に、今日の主役が登場です。
現れたのは、車体の緑が鮮やかな可愛らしい路面電車。
というわけで2日目は、日本最北の路面電車「札幌市電」にスポットを当てます。
大晦日目前の12月29日。
この日の夜は札幌中心部で友人と集まることになっていました。
せっかく中心部に繰り出すので、ループ化した札幌市電をじっくり見て回ることにしました。
まずはこちらの地図で札幌市電の説明を。
グーグルマップより
私が札幌に住んでいた10年前の札幌市電は、大通駅近くの「西4丁目電停」を起点とし、反時計回りにぐるっとまわって「すすきの電停」に至る緑色線の部分のみでした。
しかしこの「西4丁目電停」~「すすきの電停」間は、直線距離で500mもないほどの至近距離にあるにもかかわらず繋がっていないため、両端で折り返し運転をするというなんとも中途半端な運行体形をとっていました。
そして時は流れ、2012年に札幌駅前通り(赤線部分)に軌道を敷設して環状化することが決定し、2015年12月にめでたくループ化を達成したわけであります。
本記事では、ループ化に伴い延伸した部分を歩いてみます。
まずは西4丁目電停がある4プラ前の4丁目交差点へ。
写真奥が西4丁目電停で、左側がすすきの電停です。
交差点を斜めに横断するようにカーブしているのがわかります。
ちょうど電車が通りました。
まさかこの4丁目交差点を市電が走るなんて、想像もしておりませんでした。
札幌市電の進歩は、路線延伸だけではありません。
超低床車両も導入されました。
このA1200形という車両には「ポラリス」という愛称がついているそうです。
古くは「開拓使」、現在でも開拓使の流れを汲む「サッポロビール」や「札幌市章」にも描かれており、北極星は札幌市民にとってはとてもなじみ深い存在です。
札幌駅前をすすきの方面に進みます。
延伸部は、札幌駅前通りの歩道寄りの車道を電車軌道に改修して敷設されています。
おかげで歩道上に電停を設置できるため、乗降がとても便利になりました。
従来区間は車道の中心部に敷設されているので、なんだか新鮮な気分です。
4丁目交差点とすすきの交差点のちょうど中間にある「狸小路商店街」に到着。
この「狸小路商店街」は、札幌中心部の東西約900mに渡って連なるアーケード型商店街で、札幌市民御用達の買い物スポットであります。
商店街の真横には、延伸部で唯一の新設電停である「狸小路電停」が設けられました。
今まで狸小路商店街へは、地下鉄大通駅かすすきの駅から地下通路を通ってアクセスしていましたが、市電が通ったことにより利便性が向上しました。
市電延伸によって一番の恩恵を受けたのは、この狸小路商店街かもしれませんね。
電車と絡めて1枚。
延伸から2年も経っているので、完全に馴染んでいますねぇ。
さらに南進します。
自動車と仲良く信号待ち。
歩道の真横を軌道が通っているので、距離感がとても近いです。
車道中心部にを通る従来区間では味わえなかった感覚。
すすきの交差点に到着。
こちらも4丁目交差点と同様、交差点を斜めに横断するようにカーブしています。
ニッカウイスキーの看板をバックにパチリ。
昼のすすきのは物足りないですねぇ。
やはり夜でないと・・・。
市電と関係ないけど、個人的に気になったやつ。
すすきの電停前にあるこちらの建物は、私がいた頃は「ロビンソン百貨店札幌店」として営業しており、もっと遡ると「松坂屋札幌店」でした(松坂屋時代は30歳以上の道民じゃないと知らないと思いますが・・・)。
現在は「ラフィラ」という商業施設に変わって営業しているようです。
地方のみならず、いまや首都圏でも百貨店の閉店が話題となっておりますが、札幌も例外では無いようです。
といった感じで、西4丁目からすすきのまでループ化した区間を歩いて移動しながら観察してきました。
この区間の直下には「ポールタウン」という地下街があり、そこを通れば両電停間は徒歩で10分もかからないのですが、市電沿線にお住まいの方にとってはこの小さな区間の延伸の効果は相当大きいでしょうね。
ループ化効果で札幌市電の利用率が11%も伸びたというのもうなずけます。
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変わりゆく北海道の鉄路を記録する旅 2日目② 20年ぶりに札幌市電を撮り鉄する