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発車時刻が近くなり、改札が始まりました。
関電トンネルトロリーバスの改札は、自動改札機やスタンプで入鋏するのではなく、航空機と同じように切符に印字されたバーコードをスキャナーで読み込む方式です。
乗車券は無傷で帰ってくる反面、乗った記録が残らないのはちょっと寂しい・・・。
3階のホームに上がり、トロリーバスと初対面です。
「関電トンネルトロバスラストイヤー」キャンペーンの一環として、バスにはラッピングが施されていました。
この日はとても混雑していたので、「かぶりつき席」を確保するため外観撮影もそこそこにバスへ乗り込みます。
今回乗車したのは、300形のトップナンバーである301号車です。
前扉の横には鉄道友の会「グローリア賞」のステッカー。
「ブルーリボン賞」や「ローレル賞」は知っていましたが、「グローリア賞」なる賞があったことを初めて知りました。
※「グローリア賞」は2003年を最後に廃止されたそうです。
全員の乗車が終わり、いよいよ発車です。
※ここからの画像はビデオカメラからの切り出し画像なので、画質が若干悪いのでご了承ください。
地上の係員が手を挙げて出発合図を出します。
前方に見えるのは「出発信号機」です。
「関電トンネルトロリーバス」は見た目はバスですが、法令上は立派な鉄道です。
よって、保安装置も普通の鉄道に近いものが使われています。
扇沢駅を発車後は、少しの間屋外を走ります。
架線柱も立っていますが、線路が無いので違和感ありありです。
駅裏手の山を少し登ると、いよいよ関電トンネルに入ります。
トンネルの壁面や路面をよく見ると、速度制限標識や
勾配標
キロポストもちゃんとありました。
これらの標識も、電気バス化されると撤去されてしまうんでしょうかね。
関電トンネル内は、途中何か所かクランクがあるものの、それ以外の区間は直線の「単線」トンネルが延々と続きます。
そんな関電トンネル内には、見どころが何カ所かあります。
まずは青くライトアップされたこちらの場所。
ここは「破砕帯」と呼ばれる軟弱地層で、開削工事中に大量の地下水が出水し工事のゆく手を阻みました。
こちらの青い区間の80mを掘るのに7か月も要したということからも、いかに難工事であったことが窺い知れます。
下の写真で水が滴っているのが写っている通り、地下水は現在でも出水し続けているそうです。
破砕帯を過ぎて少し進むと、今度は黄色い行灯が現れます。
こちらは長野県と富山県の県境を表す標識です。
このあたりは赤沢岳と鳴沢岳の尾根が両県の県境となっているので、ここは尾根のちょうど真下に当たる部分となります。
県境を過ぎると、乗り鉄的に一番の見どころに差し掛かります。
トンネルの中に突然「場内信号機」と、行き違いスペースが出現。
ここはトンネル内に設けられた「信号場」です。
信号場内は左側通行となっているため、構造的に扇沢→黒部ダム方面が待避線側、黒部ダム→扇沢方面が本線側という扱いになります。
ダイヤも黒部ダム行きの便が先に信号場に到着するように組まれているようです。
しばらくすると、黒部ダム駅からの対向「列車」が到着。
対向列車が徐行ですれ違います。
なんとなく、北越急行線のトンネル内にある信号場群を思い出しました。
交換が終わると、待避線側の出発信号機が青に変わりこちらも出発。
再び長い直線区間を進みます。
直線区間を抜けてクランク部分へ。
黒部ダム駅側は建設当時の作業抗か保守のための通路かわかりませんが、トロリーバスの進路外にこのような分岐があちこちにあります。
そのため、普通の道路標識も設置されていました。
黒部ダム駅ホームに進入する直前に、遮断機で遮られた通路があります。
こちらは「黒部トンネル」という、今通ってきた関電トンネルとは別のトンネルで、このトンネルは下流にある「黒部川第四発電所」まで繋がっており、さらに関電黒部専用鉄道を経由して黒部峡谷鉄道欅平駅まで到達可能で、そこから宇奈月温泉へ抜けることができます。
このルートは「黒部ルート」と呼ばれており、原則として一般開放はされておらず、年に何度か開催される一般見学会に当選した人しか立ち入ることができません。
そんな知る人ぞ知る「黒部ルート」ですが、なんとつい昨日2024年を目途に一般開放されるというニュースが流れました。
見学するハードルが下がる一方で、観光地化してしまうことで今のキャットウォークツアー的なワクワク度も下がってしまいそうですね。
実は私も何度か応募したのですが、一回も当たったことがありません・・・。
できることなら、一般開放される前に訪れてみたいところです。
そしてバスは終点の黒部ダム駅に到着。
扇沢駅から約15分の旅でした。
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