川崎鶴見鉄道録

川崎・鶴見界隈の鉄道に関するブログ

185系の側面方向幕を電動化する

本日は鉄道部品の工作ネタでございます。

今回弄るのはこちらの部品です。

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昨年の長野総合車両センター公開で購入した185系B編成の側面方向幕です。

今回は過去に当ブログで取り上げてきた、京急2000形東京メトロ03系の方向幕のように、自作の簡易指令器で動かせるように工作します。

 

まずはテスタを使って内部の電気回路をチェックし、工作の方針を考えます。

内部回路の詳細は書きませんが、結論としては簡易指令化だけなら方向幕自体の改造は不要で、手持ちの簡易指令器を小改良することで対応できました。

 

方針が固まったところで工作開始。

まずは巻取器の裏側にある小箱のフタを開けます。

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小型リレーが2個ついた基板がエッジコネクタに刺さっています。

この基板が185系巻取器の制御基板なのですが、京急2000形東京メトロ03系の基板とに比べると、随分とアナログ的な感じがしますね。

京急2000形の制御基板

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というのも、過去の2種類と今回の185系ではコマ制御の仕組みが全く違う方式なので、制御基板の回路も別物になっているのです。

 

過去の方向幕には、幕の端にバーコードが印刷されていましたが、185系の方向幕にはバーコードの代わりに複数の穴があけられています。

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この穴には規則性があり、すべてのコマで穴あけパターンが異なっています。

 

そして巻取器の上下には、穴の位置に合わてメカスイッチが付いています。

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上下の画像で、穴のパターンが異なっているのが分かると思いますが、穴が開いている時は検知用のピンが下に落ちることで、穴の有無を検知しています。

このスイッチの回路には電気が流れているのですが、スイッチの先には変圧器が繋がっており、穴のパターンによって出力電圧が変化する作りになっています。

つまり1コマ目だったら1V、2コマ目だったら2V・・・というように、それぞれのコマによって、特定の電圧を出力できるのです。

 

先ほどの制御基板は、指令器から送信される制御用の電圧と、表示器の穴パターンの電圧を比較し、2つの電圧が等しくなるコマ番号へモーターを回転制御します。

このような制御方式を電圧比較式と呼び、JR東日本だと若干回路が異なりますが、201系や205系の方向幕でも採用されています。

 

 

とまあ制御方式について説明しましたが、私の採る手法では制御方式が何なのかはあまり関係なく、重要なのは制御基板と内部回路の接続方法と、蛍光灯とモーターの使用電圧です。

185系の制御基板と内部回路の接続には、4mmピッチ18Pのエッジコネクタが使われていました。

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右側の電線が付いている基板は、以前京急2000形用に作った接続基板なのですが、左側の185系の制御基板のほうが、端子の数が4つ多いのが分かります。

つまり、過去に自作した基板は使い回せないということです。

 

というわけで秋葉原のパーツ屋を回り、新しい基板を調達してきました。

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今回購入したのは、サンハヤトの「ICB-95R」というユニバーサル基板です。

 

185系の制御基板と比較。

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今度は右側の基板のほうが、ピン数が多くなっちゃいましたね・・・。

というのも、秋葉原中の目ぼしいパーツ屋を回ったのですが、18Pのユニバーサル基板が売っていなかったので、一回り大きい22Pの基板を購入して18Pに改造することにしたのです。

 

まずは余分な端子4つの場所にナイフで切れ目をいれます。

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切れ目に沿って、ニッパーで基板を切断します。

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・・・勢い余って、残す予定の部分が一部欠けちゃいました。

まあここには電気を流さないので、それほど深刻な問題ではないですが。

 

今回購入した「ICB-95R」は、185系の制御基板と比べるとかなり大きいので、基板本体もニッパーで切断し、全体の大きさを制御基板と同じ大きさに加工します。

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巻取機本体のエッジコネクタに装着。

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制御基板用の収容箱は基板外寸ピッタリに作られているため、ユニバーサル基板も外寸を合わせないと、エッジコネクタに挿入することができません。

先ほど基板全体を切断加工したのは、この理由からです。

 

続いて簡易指令器側の改造へ。

以前自作した簡易指令器は、指令器からの配線を接続基板へ直接接続していました。

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ですがこのままだと、動かしたい巻取器を変える度に、基板側の配線を半田付けし直さなくてはなりません。

それはあまりにも面倒なので、今回は配線の途中に中継用端子台を追加する改良を加えることにしました。

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この改良により、動かす巻取器を変えるときは端子台~接続基盤の配線だけ交換すれば対応可能となります。
また新たな巻取器を購入した時も、端子台~接続基盤の配線だけ製作すればよいので、電線の材料費も削減可能です。

 

本当は指令器を自作した時に、最初から付けときゃよかったんですけどね。

指令器を作った時は、まさか短期間で巻取器がこんなに増えると思っていなかったので、ある意味「嬉しい誤算」とでも言えるでしょうか。

 

最後に接続基板に配線を半田付けして、作業完了です。

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今回の工作の成果は、こちらの動画でお楽しみください。

ちなみに動画では蛍光灯が消えていますが、これは動画撮影用にあえて蛍光管を取り外したからです。
185系の蛍光灯回路はAC100Vなので、特別な改造をしなくても点灯可能です。

 

今回の工作はこれにて終了です。

185系の方向幕は5本くらい所有しているのですが、今回巻取器を電動化したので付け替えて遊んでみたいですねぇ~。

そのときは、YouTubeにアップしたいかなと思います。

 

 

最後にいつものお約束事を。

方向幕の改造は、すべて自己責任で行ってください。

ここに書いていることが間違っていても、責任は負いません。

また質問をいただいてもお答えしませんので、ご了承ください。

 

改造には最低限、電気工事士2級程度の知識と工作スキルが必要と思いますので、自信の無い人は電気工作に詳しい人に頼みましょう。