前の記事はこちら。
石狩沼田駅訪問の後は、同じく沼田町内にある前々から気になっていたスポットへ向かいます。
そのスポットというのがこちら。
その名も明日萌(あしもい)駅でございます。
・・・といっても、どれだけJR北海道の路線図をくまなく調べても、この明日萌駅という駅は存在しない、いわば「架空の駅」なのです。
実はこの明日萌駅は、1999年に放送されたNHK連続テレビ小説「すずらん」の舞台となった場所であります。
この駅舎は当時撮影に使われたセットであり、約20年経った現在でも観光用の施設として、そのまま残されているのです。
そしてこの明日萌駅は、留萌本線の恵比島駅の敷地内に建てられています。
「すずらん」は、ヒロインとなる女の赤ちゃんが駅長家族によって育てられる・・・というストーリーであるため、ロケ地にも本物の駅が選ばれたようです。
こちらの恵比島駅ですが、昨シーズンの冬に留萌本線を乗り鉄した際、通過したことがありました。
このときは車内から眺めるに留まっていたので、雪のない時期に再訪したいと思っており、今回沼田町に来たついでに立ち寄ることにしたのです。
この「明日萌駅」および周辺の関連施設ですが、ドラマ終了後は沼田町によって「明日萌の里」として維持管理されており、雪のない季節は内部も公開されています。
てことで、さっそく内部に入ってみます。
内装もドラマの撮影当時のまま保たれているそうです。
続いて駅長室。
自分一人しかいないはずなのに誰か座っている!!と思ったらマネキンでした。
部屋に入った瞬間、ビックリして思わず声が出ちゃいました(^_^;)
「すずらん」は時代設定が大正~昭和初期であるため、明日萌駅舎もその当時の雰囲気を再現しています。
今回撮影した写真も当時の雰囲気に近づけるため、明日萌駅舎の写真をモノクロに加工してみました。
今回は手抜きして色調しか加工していないので、大正時代の写真にしては色々鮮明すぎですが、フィルム風に細工するともっと良い感じになりそうです。
まあ、今回はそこまでの気合はありませんけど・・・。
こちらが「恵比島駅舎」です。
駅名標もないし、パッと見は「明日萌駅舎の物置」にしか見えません・・・。
「なんで本来の駅舎がこんな物置っぽいの?」という疑問の答えは、ホーム側から見れば一目瞭然です。
この物置・・・改め恵比島駅舎ですが、実はダルマ駅舎に明日萌駅舎のセットと同じ木板を張ったものなのです。
なんでこんな状態になったかというと、「すずらん」撮影時も留萌本線自体は営業していたため、本来の恵比島駅としての機能も当然維持する必要がありました。
そのため、いくら隣に立派な駅舎を建てたところでセット扱いである以上は、撮影期間中も本来の恵比島駅舎を撤去することは出来ません。
そこで隣にある恵比島駅舎が映り込んでも物置などに見えるよう、外観に木板を貼って対策したのだとか。
しかし、撮影終了後は復元する前提だったためか、本当に木板を簡易的に張りつけてあるだけなので、老朽化の進み方が半端じゃないです。
特にホーム側は、窓はすでに半分落ちて木板全体も剥がれ落ちかけており、全部剥がしたほうがいいんじゃない?と心配するレベルでした。
恵比島駅舎の内部。
外観とは違い、中は札沼線のような飾り付けなどもなく、あっさりしていました。
続いてホームの様子。
1面1線の棒線駅です。
かつては「留萠鉄道」という私鉄が乗り入れていたそうですが、廃止から50年弱経っていることもあり、構内にその面影は感じられませんでした。
駅名標も記録。
ちょうど列車が到着しました。
乗客の皆さんも、車両の窓から写真を撮られていました。
恵比島駅周辺には、明日萌駅舎以外にも「すずらん」の撮影セットが残されています。
まず明日萌駅舎の横にあるのは「駅長の家」です。
「すずらん」をちゃんと見たことが無いので分かりませんが、ヒロインが育った場所ということになるんでしょうかね。
駅前にあるのは「中村旅館」です。
撮影終了後は「すずらん」に関する資料館に改装され、かつてはカフェなどを営業しつつ公開されていたようですが、現在は非公開となっております。
ドラマ撮影時は、ほかにも数棟セットが建てられたそうですが、ほとんどは撮影後に取り壊されたため、現存するのは今回ご紹介した3棟のみです。
さすがに放送から20年も経てば、訪れる人も居ないだろうなと思っていたのですが、私が滞在した1時間ほどで2組ほど来訪されていました。
意外にも、根強い人気があるようですね。
最後に引きの画を一枚。
まるでここだけが、時間が止まっているかのようですね。
この恵比島駅がある留萌本線ですが、JR北海道より「単独維持が不可能な路線」に指定されています。
具体的な議論は進んでいないようですが、都市間輸送の需要も皆無な留萌本線が生き残る可能性は、限りなく低いと言っていいでしょう。
「その日」を迎えたとき、この場所はどうなってしまうのでしょうか。
これにて留萌本線沿線の放浪旅は終了です。
次回からは、別の路線へ舞台を移します。