川崎鶴見鉄道録

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魅惑の貨物専用線 岩手開発鉄道を撮る! その1 2019北東北撮り鉄遠征⑰

前の記事はこちら。

 

思いのほか長編シリーズになっている此度の2019北東北撮り鉄遠征、今回から最終日である4日目に突入しますが、実は本遠征はここからが本番でございます。

つまり、今まで連載してきた八戸臨海鉄道五能線石巻貨物の撮影記録は、全てここに至るまでの「前座」にすぎなかったのです。

 

そんな此度の遠征のド本命となる舞台は、岩手県大船渡市で貨物線を運営している岩手開発鉄道であります。

岩手開発鉄道は、赤崎駅と岩手石橋駅を結ぶ11.5kmの路線を所有する第三セクターの鉄道会社で、大船渡市の山中にある大船渡鉱山で採掘した石灰石を、沿岸部にある太平洋セメント大船渡工場まで輸送しています。

かつては旅客営業も行っていましたが、利用人員の減少により1992年に廃止され、現在は貨物輸送に特化した鉄道会社となっています。

 

そんな岩手開発鉄道を此度の遠征のド本命に据えたわけですが、この岩手開発鉄道は私にとって撮影難易度の高い線区であります。

その理由としては

①大船渡市をはじめとする岩手県三陸沿岸地域は、新幹線や空港など高速輸送手段が通っておらず、首都圏と直接つながる公共交通機関も夜行バスを除きほぼ無い。そのため、どんなに頑張っても沿線に出入りするだけで半日以上を要する。

岩手開発鉄道は平日しか運行せず、土休日は基本的に全便運休。そのため、フルタイム勤務の人間は最低1日は会社を休まないと撮影できない。

と、首都圏在住のフルタイム勤務のサラリーマンにはなかなかハードルが高く、平日を含む連続した2日以上の時間を費やせないと、手間と旅費に見合った成果は得られないと言えます。

そのため、そう簡単に撮影に赴ける場所では無いのですが、今回は平日を含む連休をいただけたので、じっくり腰を据えて撮影可能となったわけです。

 

そしてもう一つの懸念事項は、岩手開発鉄道の運行ダイヤはほとんど外部に公開されていないということ。

JR貨物と直通する臨海鉄道や地方私鉄は、貨物時刻表に時刻が掲載されたりするのですが、岩手開発鉄道はどの事業者とも直通せず完全に自社内完結の輸送体系なので、積極的に公開されていません。

そうなると、先人たちの撮影記録をもとにダイヤを予想するしかありませんが、そもそも先例が少なく具体的な時刻を絞るのも困難だったので、沿線に張り付いて運行状況を伺いながら、臨機応変(という名の出たこと勝負で)撮り鉄することにします。

 

 

そんなわけで最初にやってきたのは、岩手開発鉄道線の拠点駅である盛駅です。

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盛駅JR東日本BRT大船渡線三陸鉄道岩手開発鉄道の3社が乗り入れる、大船渡駅の中心駅です。

といっても前述したとおり、現在の岩手開発鉄道は旅客営業を行っていないため、一般旅客とっては実質2社のみだけですが。

 

駅の南側に架かる人道橋からは、盛駅構内を見通せるようになっています。

駅舎側には、BRT大船渡線三陸鉄道のホームが設置されています。

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かつては駅舎に最も近い2線にも鉄道用のレールが敷設されていましたが、BRT化に伴い車道化されており、2つのホームは平面移動できるようになっています。

今となっては存在意義を失った跨線橋が、往年の姿を今に伝えているようです。

 

人道橋の南側には、三陸鉄道の車庫があります。

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一番右側の車道がBRTの本線、その左側が三陸鉄道の本線です。

三陸鉄道からJR方面に向かってプッツリと切れた渡り線と、バツ印を付けて使用停止となっている信号機が、どこかもの悲しさを感じますね。

 

そんな旅客2社の敷地に隣接するように、駅の東側には岩手開発鉄道の側線群が広がっています。

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盛駅の北側に隣接して岩手開発鉄道唯一の車庫があり、盛駅構内の側線は車庫の留置線も兼ねているため、盛駅に乗り入れている3社の中で一番規模が大きいのは、実は旅客営業を行っていない岩手開発鉄道だったりします。

 

私が最初に盛駅に布陣したのは、前述の通り車庫も兼ねているため、本線を通る列車の撮り鉄と同時に、車庫から出区する様子も観察できるから。

事前に調べた情報では、通常ダイヤだと2運用で回しているそうですが、車庫を見る限り出区待機している編成は無かったので、私が現着した8:30段階ですでに2運用とも運行を開始しているようでした。

 

そんなわけで人道橋上で待機していると、近くの踏切が鳴り出して、待ちに待った岩手開発鉄道の貨物列車が姿を現しました。

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やってきたのは、赤崎駅からの返空列車でした。

車庫でも無い赤崎駅で夜間留置していたとは思えないので、すなわちもっと早い時間から(7時台?)赤塚駅行きの積載列車が運転されていると思われます。

 

列車は盛駅を通過し、石灰石を積み込むため山に向かっていきました。

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先頭に立つ機関車はDD56形という形式で、国鉄DD13形をベースにした自社発注のディーゼル機関車です。

小型機ながら18両ものホッパ車を引き連れて走る姿は、なかなか画になりますね。

 

といった感じで、この日も無事に列車が運行していることを確認できました。

セメント工場の生産調整や設備点検で、運休していたらどうしよう・・・という不安もあったんですが、これで一安心でございます。

 

次回からは、本格的に岩手開発鉄道撮り鉄を行います。