前の記事はこちら。
なんだかんだで20回以上も連載してしまった「2019北東北撮り鉄遠征」も、今回が最終回でございます。
前回の記事をもってすべての撮り鉄活動を終えて、自宅への帰路に着いたのですが、その途中に鉄道とは全く関係ない場所に寄り道することに。
その場所とは、岩手県陸前高田市にある「奇跡の一本松」であります。
今回の遠征の主たる舞台となった三陸沿岸は、東日本大震災で甚大な被害を受けた場所であることは、当然皆様もご存知と思います。
しかし、気が付けば震災からすでに8年半が経過しており、段々と記憶が薄れていこうとしていますが、そんな時だからこそと思い今回、震災の記憶を伝える遺構のひとつである「奇跡の一本松」に立ち寄ってみることにしました。
大船渡市から高速道路で、陸前高田市に移動します。
・・・が、なぜかカーナビに示された地図と実際の道路がまるで異なり、道に迷ってしまいました。
震災の津波により、陸前高田市の市街地も壊滅的な被害を受けましたが、復興に合わせて区画整理が行われているようで、カーナビ内蔵の古い地図が全く使い物にならなかったようです。
本当に街ごと造り変えているんだな、という印象を受けました。
そんな感じで市街地を彷徨いながらも、なんとか奇跡の一本松近くの駐車場に到着。
「奇跡の一本松」を訪れる人のために、徒歩で10分ほど離れた場所に「一本松茶屋」という、小規模な道の駅的な施設が造られていました。
「一本松茶屋」の向かいでは、なにやら大掛かりな工事中。
「奇跡の一本松」を含む周辺は「高田松原津波復興祈念公園」という国営の追悼・祈念施設として整備されることとなったようで、その施設を造っていました。
そして今回の訪問後の2019年9月22日、先行して「道の駅 高田松原」と「東日本大震災津波伝承館」がオープンし、それに伴い「一本松茶屋」は閉鎖されたそうです。
よって、本記事の内容はすでに古くなった情報でありますので、訪れる際は最新の情報をご自身でお確かめください。
「一本松茶屋」からは公道を10分ほど歩き「奇跡の一本松」へ向かいますが、その道中でも復興工事が至る所で行われていました。
現在は街の土台というか基礎工事をしている段階で、市街地というものはほとんど形成されておらず、大分復興が進んでいるのかと思いきや、現実は全く違っていて愕然としました。
すぐ隣の大船渡市が割と復興していたのと比べると、わずかな距離と地形の差でここまで被害に差が出たのかと、身を持って認識させられた気持ちです。
市街地の造成工事と並行し、巨大な水門の工事も行われていました。
震災の大津波はこの水門がある「気仙川」を逆流し、上流部への被害を拡大させる一因となったため、その対策として巨大な水門を整備しているそうです。
水門というよりは、もはやダムの堰堤のような規模と重厚さですね。
そんな工事現場のなかに「奇跡の一本松」は立っていました。
この工事現場も、数年後には公園として整備されるそうです。
工事現場を抜けて「奇跡の一本松」に到着。
このときは近くまで行くことはできず、水たまり?を挟んだ対岸にある仮設通路から眺める感じでした。
もともとこの辺りは、約7万本の松が生い茂る「高田松原」という場所で、陸前高田市を代表するスポットだったそうです。
そんな「高田松原」も大津波に飲み込まれ壊滅しましたが、その7万本の松のうち唯一津波に耐えて残ったのが、現在「奇跡の一本松」と呼ばれている松の木であります。
しかし、津波による大ダメージを受けたことには変わりなく、その後枯れ死していることが確認されたため、現在立っているのは枯れ死した木の内部をくり抜き鉄心を通して自立させた、いわば半複製品ようなものです。
ですが、震災遺構のシンボルとしては十分な役割を果たしていると言えるでしょう。
松の隣には、こちらも震災遺構な建物が残されています。
これは「陸前高田ユースホステル」として営業していた建物で、もともとは「奇跡の一本松」もこちらのユースホステルの敷地内に立っていた松だそうです。
2019年9月時点の「奇跡の一本松」とその周辺は、こんな感じでした。
震災後、被災した地域を訪れたのは2年前に気仙沼周辺や三陸鉄道北リアス線を乗り鉄をしたくらいで、地に足を付けて訪れたのは今回が初めてのこと。
ですが実際に歩いてみて、自分が考えていた以上に震災の傷は根深いと見せつけられたと同時に、自分の考えは甘く、そして理解が足りていなかったと思い知らされました。
私がこの復興事業に直接協力できることは少ないと思いますが、一日も早い復興を心から願っています。
これにて今回の遠征の活動はすべて終了です。
このあとは国道284号線をひた走り一ノ関駅へ向かいますが、その途中にある道の駅で小休止。
立ち寄ったのは、ちょうど中間地点にある「道の駅 むろね」という場所で、この辺りは唐揚げが名物だそうです。
ですが私はそんな看板をガン無視して、糖分補給を優先します。
今回は左側の「玄米ソフト」を発注しました。
あまり期待していなかったのですが、玄米の風味がよく出ており結構美味でした。
これはオススメの品でございます (^o^)
このあともうひと踏ん張りして、ようやっと一ノ関駅に到着。
ここでレンタカーを返却し、東北新幹線で一気に東京へ向かいます。
今回は「はやぶさ112号」に乗り込みました。
「はやぶさ112号」は臨時列車ではなく定期列車なのですが、仙台~盛岡を各駅に停車する定期「はやぶさ」があるのを、今回初めて知りました。
このあたりの小駅は「やまびこ」が主体ですが、福島や郡山を通過する速達便は「はやぶさ」扱いのようですね。
車内で恒例となった一人打ち上げを。
酒のつまみに丁度いいおかずが揃っていますが、味はイマイチでした・・・。
遠征のシメには、ちょっと物足りなかったですかね (^_^;)
といった感じで、今回の「2019北東北撮り鉄遠征」は完結でございます。
4日間に渡る大規模な撮り鉄遠征は久々だったので疲れましたが、その分収穫も大きな遠征となり、とても充実した4日間でした。
若干リベンジしたい要素もあるので、いつか東北地方は再訪したいと思います。
おしまい