川崎鶴見鉄道録

川崎・鶴見界隈の鉄道に関するブログ

貨物列車のカプラーを考える TOMIX機関車編

今回は鉄道模型、それもカプラーのお話です。

 

今から遡ること1年10か月前、以下の記事を作成したことがありました。

私が所有している鉄道模型の貨車は、KATO製とTOMIX製が混在していますが、標準のアーノルドカプラーの見栄えがイマイチなので、KATO「車間短縮カプラー」で統一を図るための検証を行いました。

 

検証の結果、貨車は「車間短縮カプラー」で統一することにして、実際に走らせて遊んでいたのですが、実は大きな問題を抱えたままでした。

それは、TOMIXの機関車にKATO規格のナックルカプラーを付けられなかったということです。

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私はTOMIX製の貨物用機関車を2台所持していますが、今まではKATO規格のカプラーを付けられなかったので、下のような貨車を使用していました。

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KATOの機関車の場合、機関車に付属してくるナックルカプラーと車間短縮カプラーに互換性があるため、何不自由なく貨車と連結することが可能ですが、TOMIX製の機関車はそうはいきません。

なので左側にTOMIXのアーノルドカプラー、右側にKATOの車間短縮カプラーを取り付けたコキを機関車次位に連結し、いわば「カプラー規格の変換」をしていました。

これはこれで、慣れれば案外苦にならないのですが、それでも面倒かつ見栄えがイマイチなので、TOMIX製の機関車にKATONのナックルカプラーを取り付ける改造を施したというのが、今回のお題でございます。

 

今回使用するカプラーがこちら。

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KATOのAssyパーツ「Z05K1376 EH200ナックルカプラー」で、その名の通りもともとはEH200に使用されているナックルカプラーです。

 

EH200ナックルカプラーは、グレートアップ用カプラーとしてお馴染みの「Z05-1376 ナハフ11かもめナックルカプラー」の色違いとなっています。

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通称「かもめナックル」と呼ばれる右側が黒色に対し、それの亜種となるEH200のほうはグレーとなっています。

なので一口に機関車と言っても、貨物更新色やJR型貨物機関車はグレーが多いですが、国鉄色は黒色が多いので、使い分けが必要となります。

 

ちなみに現在、KATO製機関車に標準で装備してくるナックルカプラーは「Z01-0224 EF66前期形 ナックルカプラー」と、その派生品の「Z01K0224 ナックルカプラー(灰)」で、上記のカプラーとは微妙に違います。

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この2種も交換用カプラーとしてお馴染みの製品ですが、EH200のものとは連結面には互換性があるものの、車両側の取り付け形状が若干違います。

 

KATOのAssyパーツは往々にして「○○系カプラー」とか、特定の形式を名乗りつつほかの車両にも使い回していますが、先に紹介したEH200用カプラーはEH200以外の機関車にはほぼ採用されておらず、半ば標準部品であるEF66用とは異なり生産機会が少ないため、長く市場在庫無しの状態が続いていました。

そして2020年5月、EH200が再生産されたことによりAssyパーツも供給され、ようやくこのカプラーを手に入れることが出来たのが、前回の検証から1年10か月も開いてしまった理由でございます。

 

材料の紹介をしたところで、さっそく作業へ。

まずはTOMIX機関車に標準的に付属してくる、TNカプラーの部品を分解します。

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カプラーを押さえている部品にピンセットを突っ込み、上下にこじ開けると右のように3つのパーツに分かれます。

 

ここで各種カプラーの比較をしてみます。

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TNカプラーの形状が異なるのは当然として、重要なのはKATO同士の右2つの違いでして、EH200ナックルの根元が細くTNカプラー形状に近いのに比べ、半ば標準品であるナックル(灰)は根元が太いのがわかります。

この違いがTOMIX製機関車にナックルカプラーを取り付ける際に致命的で、ナックル(灰)と色違いのEF66前期形は根元が太すぎてTNカプラーの胴受けに入らないため、EH200ナックルやかもめナックルを使う必要があるのです。

かもめナックルは簡単に手に入りますが、EH200ナックルは上述した通り生産頻度が低く入手しづらいのが、この改造で一番めんどくさい点であります。

 

そんなわけで、EH200ナックルだと無改造でTNカプラーの銅受けにはめ込めます

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色合いもばっちりですね。

黒色カプラーの場合、同形状のかもめナックルが無改造ではめ込めます。

 

しかしはめ込めはできるものの、1点だけ手を入れる必要があります。

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TNカプラーには、シャンク上部に振れ止めの突起がありますが、EH200ナックルには無いので、そのままだと上下にグラついてしまいます。

 

なのでグラつき防止のために、隙間にプラ棒を突っ込んで動かないように固定します。

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これを機関車に組み込めば、TOMIX製機関車のKATOナックル化が完了です。

 

改造前のTNカプラー状態と、KATOナックル化した状態を比較してみます。

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左がKATOナックル化したPF、右が改造前のTNカプラーのPFです。

カプラーの張り出しが一段減りましたが、スムーズに首振りしてくれるので問題はなさそうです。

 

続いてKATO製のPFと比較してみます。

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KATO製PFのナックルカプラー装着状態と遜色ないですね。

ここまで近づくのは予想外でした。

 

連結状態を確認します。

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TOMIX車のほうが若干低いですが、嵌合状態に問題はなさそうです。

 

そして問題の、貨車との連結状態も確認します。

まずはKATO製の貨車から。

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コキはピッタリ、タキは機関車のほうが若干低いですが許容範囲でしょう。

 

続いてTOMIXの貨車。

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こちらもコキはピッタリですが、タキは逆に貨車のほうが低くなっています。

これは貨車編での検証で、TOMIX製タキはカプラーの高さが低いことが判明していましたが、3分の2以上は嵌合しているのでよほどの線形じゃない限り、自然開放は起きないと思います。

 

最後に曲線での状態を確認。

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今回の用いたカーブ線路はKATOのR282です。

KATO製のPFも似たような間隔だったので、よほどの小半径カーブでないでない限りは問題ないでしょう。

 

といった感じで、TOMIX製機関車をKATOナックル化してみました。

材料さえ手に入れば意外と簡単にできたので、カプラーを統一を考えている方にはオススメの方法でございます。

 

これで貨物列車のカプラーを統一完了・・・と言いたいのですが、実は我が家の鉄道模型運用ではもう1点、問題を抱えておりました。

そのお話は、次回に続きます。

 

貨車編はこちら。