川崎鶴見鉄道録

川崎・鶴見界隈の鉄道に関するブログ

「米タン」の終着地 米軍横田基地専用線を巡る

先日の4連休、最終日となった秋分の日は貴重な「火曜日の祝日」でした。

そして火曜日と言えば、当ブログでもたびたび取り上げている在日米軍向け航空燃料輸送列車、通称「米タン」の運転日であります。

 

火曜日の休暇ということで私も「米タン」を狙ったのですが、いつもの鶴見線 安善駅側ではなく、今回は趣向を変えて未だ訪れたことのなかった青梅線 拝島駅まで足を延ばし、米軍横田基地専用線側で撮影することにしました。

というわけで今回から、当ブログ初登場となる「米タン」横田基地側の撮影記録を数回にわたりお届けいたします。

 


  

まずは川崎駅から南武線青梅線を乗り継いで、拝島駅にやってきました。

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川崎駅から拝島駅までは40km少々なのですが、南武線をチンタラ全線乗り通したうえで青梅線へ乗り換えなので、1時間以上かかるんですよねぇ。

この精神的な面倒くささが、今まで横田基地専用線まで足を運ばなかった要因でもあります (^_^;)

 

拝島駅に到着したのは午前9時ごろ。

「米タン」の運転時刻までは時間があるので、まずはロケハンがてら専用線を徒歩で練り歩くことにします。

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googleマップより

横田基地拝島駅の真北に位置し、横田基地専用線青梅線 拝島駅の立川方にある引き上げ線と接続しています。

横田基地と引き上げ線の間には西武拝島線が通っていて、専用線拝島駅構内で西武線と平面交差する構造となっています。

 

拝島駅北口を出ると、駅の目の前に踏切が出現

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この踏切がすでに米軍横田基地専用線となります。

一般的に「専用線」というと、旅客扱いのない貨物駅から分岐したりと、車が無いとアクセスできない立地であることもしばしばですが、ここは徒歩鉄には素晴らしい立地でありますね(笑)。

 

駅前の踏切から拝島駅側を眺めます。

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左にカーブしながら拝島駅構内へ進入し、西武拝島線と平面交差しています。

 

そして踏切の脇には、少々おどろおどろしい警告標識が設置されていました。

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この横田基地専用線JR貨物が管理していますが、専用線の敷地は横田基地内の扱いとなっています。

同じく「米タン」の発着地である安善駅側も、安善駅~(元)浜安善駅は半ば米軍専用線と化していますが一応安善駅構内の扱いであるため、このような警告標識は立っておらず、似たような運行体系ながら線路の扱いは微妙に異なっているようです。

 

そしてこの警告標識、思いっきり日本国内に設置されているのに、日本語より英語が優先して表記されていることから、「ここは日本だが日本ではない」というのがお分かりになるでしょう。

といっても、専用線を見張る衛兵が巡回しているわけでもないので、敷地外から見物する分には全く問題ありません。

 

駅前の踏切の横には「平和橋」という小さな橋が架かっています。

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橋の袂には、石碑が立っています。

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碑には「平和橋のいわれは世界の恒久平和を願う趣旨をもって「平和橋」と命名された」とあります。

 

ちなみにこの橋は、玉川上水を跨ぐための橋です。

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遊歩道も整備されており、人工の用水路には見えませんね。

 

平和橋を超えると緩い上り勾配となり、本格的な専用線区間が始まります。

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横田基地専用線は、こんな感じで住宅地のど真ん中を突っ切るように敷設されており、どことなく尻手短絡線のような趣を感じますね。

ちなみにここは、横田基地専用線で唯一編成写真が撮れる撮影地(といっても編成全部は入りませんが)として、人気の場所のようです。

 

さらに進むと、住宅の路地裏を縫うように線路が続きます。

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専用線ということもあってか路盤は少々頼りなく、枕木も一部を除き木製です。

専用線内は低速で走行するとはいえ、こんな線路を軍用機用の航空燃料を満載した列車が往来するというのも、なかなかすごいですね。

 

この付近には、小さな踏切がいくつも設置されています。

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どの踏切には警報機、遮断機が付いていましたが、中にはもともと標識だけの第4種踏切だったと思われる箇所もありました。

そしてどの踏切にも、前述した警告標識が必ず立っていました。

 

線路際には敷地境界を示す杭が所々埋められており、そこには「防衛施設庁」の文字が刻印されていました。

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防衛施設庁自体は2007年に廃止されましたが、鉄道設備に防衛庁関連の名前が出てくるのも、この横田基地専用線くらいではないでしょうか。

 

別の場所には、もっと変わった杭もありました。

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横田基地アメリカ空軍と航空自衛隊の基地であるにも関わらず、この杭には「陸軍」と刻印されています。

横田基地は戦前、旧日本軍の陸軍飛行場として使われていたので、もしかするとこの杭は戦前から残っているものなのかもしれませんね。

 

五日市街道を超えると、横田基地のゲートに到着です。

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ゲートのすぐ横まで公道が通っているので、間近で観察することが出来ます。

 

ゲート付近には、標識だけの第4種踏切「横田6号踏切」がありました。

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専用線とは言え、東京都内において路面電車以外で残る数少ない第4種踏切じゃないでしょうかね。

 

といった感じで、拝島駅から横田基地ゲート前まで、横田基地専用線を練り歩いてみました。

横田基地専用線は全長500mほどなので、じっくり観察しながら練り歩いても2~30分程度で全線を見て回ることが可能です。

わが地元である安善駅側は、臨海部の工業地帯を通る専用線のため、全く異なる趣を持つ拝島側は練り歩いて結構楽しかったです。

 

そんなわけで横田基地専用線のロケハンも済んだところで、次回はいよいよ「米タン」撮影本番を迎えます。