今回より新たに撮り鉄遠征のシリーズ連載、しかも当ブログにしては珍しい「撮れたて」のお話をお届けいたします。
本遠征の舞台となるのは我が故郷である北海道、そのなかでも旭川以北の「道北」と呼ばれる地域であります。
道北地方には、それを縦断するかのように旭川駅から稚内駅へと至る「宗谷本線」が通っていますが、沿線は「日本でも指折りの極寒地域」であると同時に「日本でも指折りの過疎地域」でもあります。
北海道の雪質は所謂「パウダースノー」なので、風によって雪が巻き上げられるため降雪が無くとも窪地に吹き溜まるのですが、多少の積雪であれば旅客列車の通過時の走行風により排雪効果が得られるので、札幌圏や主要幹線など本数が多い路線では常に除雪列車を走らせる必要はありません。
しかし、宗谷本線は運行する列車本数が極めて少ないことから、放っておくと線路が雪に埋まってしまう恐れがあるため、冬期はDE15形による除雪列車がほぼ毎日定期的に運行されている、極めて珍しい路線なのです。
※ほかには石北本線と函館本線、札幌市電では「ササラ電車」が毎日運行
そんなJR北海道の除雪列車ですが、実は大きな動きがありました。
2020年夏、DE15形の後継車両と目される「キヤ291形」という車両が旭川運転所に搬入され、試運転が開始されたのです。
JR北海道の令和2年度事業計画書に「新型ラッセル気動車を新製し各種試験を行う」と記載があるので、それが計画通り進んでいることを示唆しています。
今のところ、事業計画で置き換えスケジュールは示されていませんが、試験が順調であればおそらく数年のうちに量産車が登場することでしょう。
このDE15形による定期ラッセル列車、前々から撮影したいと思っていたのですが、撮影条件が最も良い1~2月というのは年度末であるがゆえ、社会人にとっても繁忙期。
さらに私の職種がかなりの下期偏重形なこともあり、例年だとこの時期は有給休暇どころか休日出勤・泊りがけ出張・夜間作業のオンパレードで地元での趣味活動もままならず、北海道遠征など夢のまた夢でした・・・。
しかし今年はコロナ禍の影響により、仕事量が例年より少なく有給休暇も取得できる程度の業務量でありました。
この機を逃すと一生後悔するかもしれない・・・と思い、緊急事態宣言が発令されている最中ではありましたが、延べ4日間に渡る北海道遠征を決行することに。
そんなラッセル除雪車を追っかけまくった記録を、これから綴っていきます。
まずは遠征の拠点となる、道北地方の中心都市である旭川市へ向かいます。
木曜日とはいえ、朝10時の羽田空港でこのガラガラっぷり・・・。
地方路線のみならず、伊丹・新千歳・福岡といった大幹線すら欠航便のほうが多い有様で、完全に昨春の大流行期の運行状況に戻っていますね。
そんな異常事態を象徴する、ちょっと異様な光景がこちら。
2ビルの南ピア側カウンターは、完全に運用を停止していました。
といっても北ピア側もガラガラ状態だったので、ANAの経営状況がヤバくなるのも頷けますねぇ・・・。
今回はAIRDOで旭川へ向かいます。
羽田~旭川路線はJALとAIRDOが就航しており、ANAはAIRDOにコードシェアで相乗りする形となっています。
ただ私は札幌市に実家があることもありAIRDOの会員でもあるので、今回はANAではなくAIRDOの乗客として搭乗します。
ちなみに羽田~旭川路線は両社とも3往復ずつあるのですが、コロナ禍の影響により両社ともお昼の1往復しか運行しておらず、ちょっと遅い出発となりました。
両社でずらしてくれると助かるんですけどねぇ・・・。
C滑走路から定刻にテイクオフ。
雲一つない冬晴れでございました。
機内サービスの紙コップは、北海道産ほたてをアピールする特別仕様。
北海道を地盤とする航空会社らしいタイアップですね。
ちなみに北海道ぎょれんは、毎年秋~冬にかけて京急で運転される「北海道ほたて号」のスポンサーでもあります。
2019年度の「北海道ほたて号」
これのAIRDO版みたいなもんでしょうかね?
ついでに機内販売では、こちらの品を購入。
AIRDOの機内サービスでは「オニオンスープ」が提供されているのですが、それと特別フレーバーである「じゃがバタースープ」がセットになった、粉末スープセットです。
30本入り1000円とそこそこお手頃で、かつこのオニオンスープがかなり美味しいので、何度もリピートしている商品でございます。
AIRDOはANAやJALよりマイルから特典航空券への交換率が良いので、北海道路線を多用する私にとっては、わりと重要な航空会社。
今回利用した便もガラガラだったので、AIRDOへの応援の意味も込めて購入させていただきました。
そんなこんなで、決戦の地である旭川空港に到着。
そこそこの積雪量、外気温も日中でマイナス7℃と、ラッセル撮影にはまずまずの好条件なようで、おのずと期待も膨らみます。
旭川空港でレンタカーを調達して早速撮影地へ直行・・・はせず、まずは旭川市内でお買い物。
やってきたのは、北海道民御用達のホームセンター「ホーマック」です。
今回のラッセル撮影は極寒の雪の中での撮影となるため、本州の冬の格好で挑もうもんなら早々にやられてしまうので、まずは装備を整えなければなりません。
ここでブーツ、雪かき用のズボン、スノーシューなどを調達しました。
ちなみに北海道生まれ、神奈川県在住の私から、遠征組への装備面でのアドバイスとしては以下のような感じですかね。
- インナーは言うまでも無く厚めのものを。わかりやすく例えると「スキー旅行に行く格好」で挑みましょう。
- ズボンは普通のものだと、すぐにビチャビチャになります。スキー・スノボウェアでも構いませんが、ずっと外にいるわけじゃないのでそこまで厚手のものは必要無いです。北海道のホームセンターに行けば、雪かき用の防寒ズボンが1000円程度で売っているので、それを買うのが一番手っ取り早いです。
- ジャケットはダウンなど防寒性の高いもの、かつフード付きのものを用意しましょう。強風が吹くと帽子だけでは首元を守れず、体温を奪われます。北海道の雪質はパウダースノーなので、雪中行軍でもする気がなければ撥水性は案外重要じゃないです。これも道内のホームセンターに行けば、雪かき用の防寒ジャケットが売っています。
- 帽子はニット帽など耳まで覆えるものが必須です。防寒面においては耳を守ることが重要で、耳が露出するタイプのキャップやハットなどは「被る意味が無い」ので避けましょう。
- マフラーやネックウォーマーなど、首元を守るものがあると体感温度が全然違うのであったほうが良いです。インナーへの雪の侵入を防ぐ効果もあります。
- 靴は道内のホームセンターに行けば、防水・防寒・滑り止め加工を兼ね備えたスノーブーツが三千円くらいで売っているので、それを買うのがベスト。長靴でも行けますが、中敷きを入れる・普通の靴下に厚めの靴下を重ね履きするなどの防寒対策は必須。ちなみに普通のスニーカーはNG、一発目の撮影地で使い物にならなくなるうえ、靴底の溝が浅いと転倒の危険があります。
- アルミ製の三脚やマグネシウム製のカメラボディは、長時間待機していると氷のように冷えるので、素手では扱うのは辛いです。防寒用の厚手の手袋だと操作しにくいので、滑り止め付きの薄い手袋(軍手でも代用可)も合わせて用意すると快適です。
- 降雪量が多いと撮影地までの道が雪で埋もれるので、スノーシューがあると便利です。ただ今回の経験上、定番撮影地には「同志」がたくさんいるので、捻った場所やアングルを求めなければ無くても問題ありません。遠征の途中で欲しくなったら、ホームセンターに行けば買えます。
- 沿線の外気温は氷点下が基本、-10℃を下回ることも珍しくないのでバッテリーの減りに注意が必要です。通常であればさほど問題ないですが、劣化しているバッテリーを使っていたり、ミラーレスやライブビューを多用する場合は、予備バッテリーか車内で充電できる環境を用意したほうが良いかも。
特に服装については、生死に関わる・・・とまでは言いませんが、せっかくの遠征中に体調を崩しては元も子もないので、多少の出費をしてでも揃えたほうが良いです。
しかも今のご時勢、例えコロナでなくても発熱があるとホテルの検温に引っ掛かり宿泊お断り・・・なんてこともあり得ますしね。
遠征を機に装備を整えるという方は、本州より北海道内のお店のほうが圧倒的に品ぞろえが豊富ですし、札幌市や旭川市レベルなら何軒もあって在庫も潤沢なので、現地調達することをオススメいたします。
とまあ、やたらと前置きが長くなりましたが、いよいよ本題のラッセル撮影へ。
宗谷本線のラッセル列車は、大きく分けると「旭川~名寄の南線列車」「名寄~稚内の北線列車」の2系統があるのですが、初日は旭川空港への到着時間から北線は間に合わないので、まずは旭川近郊で南線の列車を撮影することに。
今回は宗谷南線ラッセルの撮影地で最も有名である、蘭留駅北側にある跨線橋にて迎え撃ちます。
現着すると、同志の皆様が待機しておられたのでしばし談笑。
定刻になっても来なかったので運休か?なんて心配もありましたが、 10分ほど遅れて姿を現し一安心です。
蘭留駅で一旦停車したのち、踏切を通過してからフランジャーを下げて雪を跳ね飛ばし始めました。
煙もいい感じに吹かしてくれています。
十分に引き付けて、本遠征のファーストショット。
雪351レ DE15 2515
作業灯は付いていませんが、なかなかの掻きっぷりを披露いただき、一発目にしては上々なカットになったかなと思います。
このあと雪351レは名寄駅へ向けて北上するのですが、私はいったん宗谷本線を離脱して、もうひとつのラッセル列車へと転戦します。