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お目当ては日本最後の現役腕木式信号機を見るためであります。
津軽鉄道は、国内で腕木式信号機を運用している最後の鉄道会社で、2017年に乗り鉄したとき車内から見物をしたことがありました。
このときから「腕木式信号機を絡めた撮り鉄をするため再訪したい」と思っていたので、今回津軽鉄道へと足を運んだのでした。
さっそく駅構内を見物するため、窓口で入場券を購入します。
日付もダッチングマシンなので、収集癖のあるマニアにはありがたいですな。
一番左にあるのが津軽五所川原方からの場内用腕木式信号機で、そこからワイヤーがコンクリート柱で空中を渡して駅舎まで引き込んでいます。
一方の津軽中里方の場内用信号機は、駅からちょっと離れたところにあるらしくホームからは見えなかったので、駅の外に出てワイヤーを追っかけてみることに。
まずはホームのすぐ横にある踏切へ。
どうやら操作用のワイヤーは、駅舎からいったん上下線の隙間の地下を通って津軽中里側の踏切を超えて、そこから上り線を横断して地表に出てくるみたいですね。
地表に出た後は、線路に沿ってコンクリート柱がずらっと並びワイヤーを渡しているのが分かります。
さらにもう一つ先の踏切へと移動。
踏切部は地下を通すのが基本のようです。
踏切の先に、ようやく津軽中里方の場内用腕木式信号機が見えました。
細いワイヤーがコンクリート柱を渡って、腕木式信号機まで伸びているのが分かると思います。
津軽中里方の場内信号機は、駅から200mくらい離れたカーブの外側に設置されていました。
津軽中里方からみると、夏ということもあってか信号機の大半は木に隠れており、辛うじて腕の部分だけは見えているという感じでした。
木を剪定したほうが良いんじゃないでしょうか・・・。
そんな感じで、両方向の腕木式信号機から駅に引き込まれたワイヤーは、ホーム脇の扱い所にある操作テコと繋がっています。
左が津軽五所川原駅方の場内信号機用、右が津軽中里方の場内信号機用のテコです。
このテコを手前に倒すとワイヤーが引っ張られ、対応する信号機の腕木が下がって青信号の表示にすることができます。
上の写真の通り、津軽五所川原駅方の場内信号機が青になったので、しばらく待機していると下り列車がやってきました。
テコを操作したことで、腕木が下がっているのが分かります。
列車が信号機を通過すると、すぐに腕木が上がって赤現示になりました。
腕木式信号機は保存されているのは数多にありますが、現役で動いている姿を見られたのはちょっと感動モノでした。
金木駅では上下列車の交換が行われます。
金木駅は津軽鉄道線の中間駅で唯一交換可能設備を持つ駅なので、多くの列車がここで行き違いを行います。
そんなわけで金木駅は運行上重要な駅なこともあり、腕木式信号機以外にもう一つレアな光景が展開されます。
それがこちら。
津軽鉄道では津軽五所川原~金木がタブレット閉塞、金木~津軽中里がスタフ閉塞となっているため、その接続点である金木駅ではタブレットとスタフの交換が行われるのです。
さらに特筆すべきなのがスタフ(写真の棒状のもの)でして、国内にはスタフ閉塞の路線はいくつかありますが、そのほとんどはスタフ代わりにタブレット(写真の輪っかが付いたもの)を代用しており、通票としてスタフを使用している「正統なスタフ閉塞」は津軽鉄道のみ。
またタブレット閉塞も津軽鉄道・由利高原鉄道・くま川鉄道の3路線しか残っておらず、タブレットを本来の目的であるタブレット閉塞の通票として使用している路線もまたこの3路線のみです。
というわけで津軽鉄道では、一昔前の鉄道運行の姿がほぼ正統な状態で残っているのであります。
そんなこともあり、金木駅は一度じっくりと訪れてみたかったスポットだったので、お目当ての光景をタップリ記録できて大満足でした。
スタフ・タブレット交換を終えた上下列車は、それぞれの目的地へ向けて走り去って行きました。
さらにホーム上にはこんなものも。
津軽鉄道で使用されているレールが展示されていました。
やはり最初は外国製のレールだったようですね。
こちらは展示物?
「ワム3」と書かれた木造の有蓋貨車が据え置かれていました。
ホームとの渡り板が付けられているので、物置として使われているのでしょうか。
金木駅探訪はこれにて終了です。
次なる場所へと移動するのですが、時刻は14時を回り空腹が限界に・・・。
金木駅舎は交流プラザが併設されており、2階にはレストランがあったのでランチタイムといきます。
青森らしく「しじみラーメン」があったので発注。
しじみの良い出汁がスープに出ており、結構美味かったです。