川崎鶴見鉄道録

川崎・鶴見界隈の鉄道に関するブログ

北九州の渡し船「若戸渡船」に乗ってみる 2021GW 西日本遠征⑪

前の記事はこちら。

 

若松駅を後にして、小倉駅へと戻ります。

若松駅のすぐ近くには若松港が広がっています。

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筑豊本線で運ばれてきた石炭は、ここで船に積み替えられて出荷されたんですね。

対岸にあるのは、北九州工業地帯の象徴である「八幡製鉄所」を擁する戸畑区となっています。

 

しばらく海を眺めていると一隻のフェリーが通過。

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偶には船旅でもしたいですなぁ~。

 

・・・と思ったら、そのフェリーはググっとカーブして目の前に着岸。

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あからさまな茶番でございましたが(笑)、この船こそが前々から行きたかったスポット3つ目でございます。

 

 

こちらの船の正体は「若戸渡船」という渡し船です。

「若戸渡船」は北九州市戸畑区若松区を結ぶ、北九州市営のれっきとした公共交通機関です。

 

戸畑区若松区は直線距離で300m程度しか離れていませんが、間には洞海湾があり陸続きとはなっておらず、かつ洞海湾には大型貨物船が入港する関係で通常の道路橋を架けることが不可能なことから、両地区の往来には旅客・貨物とも古くより船が使われていました。

しかし戦後になると、渡し船の航路に平行して若戸大橋という大きな吊り橋が架けられ、さらに海側には若戸トンネルという海底トンネルも開通しました。

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橋とトンネルの開通によって、自動車を使った人と物の移動は渡し船から道路へと移り、以前は若戸大橋にも歩道も設けられていました。

しかし、道路の交通量の増大により慢性的な渋滞を招いたことから、歩道を車道に転換して4車線化し、自動車専用道となった橋およびトンネルを通過できない歩行者と自転車のため渡し船も存続し続け、現在に至っています。

 

河川の多い日本には、古来より全国に渡し船が存在していましたが、自動車の普及に伴い道路が整備されたことにより、道路橋へと役目を引き継ぐ形で多くが廃止されていきました。

そのため令和の時代に観光用途では無く「公共交通機関」として機能しているのは、若戸渡船のような港を内包する湾、利根川など簡単に橋を架けられない大河川、歴史的に水運が発達していた大阪市など、かなり限られた航路のみとなっています。

 

 

今回はそんな若戸渡船になぜ乗ったのかというと、実は前回乗り鉄した若松線が関係しております。

若松線というのは盲腸線ゆえ、鉄道だけで完乗を目指そうとすると折尾方面へと引き返すほかなく面白みに欠けるため、盲腸線乗り鉄するときは単純往復では無くそこからどこかへ抜けられるか探すクセ?があります。

若松線の場合は、若戸渡船を使うと鹿児島本線戸畑駅と乗り換えできることを以前から知っており、そのため若松線を乗り潰すときは若松渡船と連続利用しようと決めておりました。

また「渡し船」というのを一度も使ったことが無かったので、それを体験してみたいというのも大きな理由であります。

 

 

長ったらしい前置きも済んだところで、ようやく乗り場へと向かいます。

若松側の乗り場は、若松駅から徒歩10分ほどの距離にあります。

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若戸渡船は15~20分に一本程度運行されており、30分に一本程度の若松線から乗り換える分には接続ダイヤはあまり意識しなくてもいいと思います。

逆方向の場合は、若松駅の発車時刻を意識して移動したほうが良いでしょう。

 

建物内部の様子。

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フェリー乗り場というよりは、地方私鉄の有人駅という趣ですね。

利用客のほぼ100%が地元民なので、カーフェリーのようになお土産コーナーとかも無いのでご注意を。

 

若戸渡船は有料なので、乗船前に切符を買う必要があります。

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マシンは食券とか売ってそうなやつでした。

 

2021年5月時点では、片道大人100円、小人50円、自転車持ち込みは別途50円が追加でかかります。

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切符も食券のようなペラ券です。

 

改札を通って乗船口へ。

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湾内と言えど海の上を航行するので、思ったよりもしっかりした船ですね。

 

船内の様子。

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意外にも2階建てとなっており、1階は自転車を乗せるためロングシートっぽい床面が広い造りに、2階はベンチがずらっと並んでいました。

 

乗客もすべて乗り込み出航です。

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乗客は私を含めて3名ですが、写真を撮ってる余所者は私だけでした(笑)

 

洞海湾を横断して、対岸の戸畑へと向かいます。

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航行時間は2~3分しかありませんが、若戸大橋の真下を通るので景色も見ごたえがあり、晴れた日や夜間はちょっとしたクルージング気分で楽しめそうですね。

 

そうこうしていると、あっという間に戸畑に到着です。

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ホントに湾を直線的に渡るだけなので、期待しすぎるとあっさり過ぎて拍子抜けするでしょうね(笑)

 

戸畑側が拠点のようで、降りた向かいにはもう一隻の船が係留されていました。

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規模としてはこちらのほうが少々小型で、年季も入っていますね。

また利用する機会があれば、こんどはこちらに乗ってみたいです。

 

下船が終わると、すぐに折り返しの準備が始まります。

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買い物袋をぶら下げた人や自転車登校の高校生も見られ、地元民の日常の足として利用されているのがわかります。

 

最後に戸畑側の乗り場をパチリ。

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こちらは若戸大橋の橋脚の真下に位置しています。

 

といった感じで、若戸渡船の体験乗船はこれにて終了。

思った通り、日常のまったりとした空気に包まれた良き雰囲気の場所でありました。

興味を持った方は、若松線乗り鉄ついでにでもお越しくださいませ。

 

これで九州に思い残すことは無いので、本日の宿がある岡山へと向かいます。

まずは小倉駅へ移動するため、戸畑駅まで歩いて移動。

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戸畑駅から若戸渡船のりばまでは、駅前通りをまっすぐ歩いて5分くらいです。

鹿児島本線に乗車すると・・・

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運よく415系に当たりました!!

乗れるとまでは思ってなかったのでラッキーでした。

 

415系に揺られて小倉駅へ。

新幹線までは時間があったので、まずは駅ホームで腹ごしらえ。

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小倉駅名物の「かしわうどん」を13年ぶりに堪能。

私はうどんの中では讃岐うどんがダントツに一番好きですが、九州のうどんも美味しいですね。

 

うどんを食べても少し時間があったので、いったん改札を出て小倉駅名物?のモノレールをパチリ。

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構図を練る時間が無かったので、今度はじっくりと腰を据えて撮りたいっすな。

 

そんなこんなで発車時刻となったので、山陽新幹線で九州を離れます。

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今回は「みずほ」で岡山へ一気にワープします。

遠征の前にJR西日本株主優待券を仕入れていたので、ちょっとお安く移動できました。

 

1時間半ほどで岡山駅に到着。

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岡山駅で明日以降の足となるレンタカーを調達し、今宵は市内のホテルで一泊。

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ちょっと年季の入ったホテルでしたが、客室内はリフォームされて綺麗でした。

 

ホテルに荷物を置いた後は晩御飯へ。

この当時(2021年GW)は緊急事態宣言などは出ていなかったものの、岡山市の飲食店には県独自?の時短要請がなされていたため、到着時間的に飲み屋の類は利用できない感じでした。

なので近くで見つけたなか卯へ済ませることに。

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個人的になか卯の親子丼は好物なので、悪くはなかったです。

 

宿に帰ってビールを一杯飲んで、2日目のシメとしました。

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これにて山口県・そして想定外の北九州を舞台とした前半戦が終了。

次回からは後半戦がスタートします!!