前の記事はこちら。
廃止間際のスカイレール探訪、続いては最初で最後となる「乗り鉄」をします。
駅前にスカイレールがある「みどり坂」地区の地図がありました。
スカイレールはJR瀬野駅と直結する「みどり口駅」を起点とし、斜面の中腹地区の住宅地に「みどり中街駅」という中間駅、さらに最上段地区の入口にある「みどり中央駅」を結ぶ路線です。
全長はわずか1.3kmしかないにも関わらず、起終点の高低差は160m、平均123パーミル、最大263パーミルという超急勾配があるのが最大の特徴。
近くを走る山陽本線セノハチが22.6パーミル、碓氷峠が66.7パーミル、大井川鉄道アプト式区間ですら90パーミルなので、通常の鉄路とは比較にならないことがお分かりになると思います。
今回は麓にあるみどり口駅から、頂上のみどり中央駅まで乗ってみることに。
てことでみどり口駅2階にある改札口へやってきました。
券売機と改札口がそれぞれ2台ずつありました。
どちらも鉄道用というより、食堂用券売機とかビルの入館管理用ゲートを流用したような、簡素な造りですね。
券売機で切符を購入し、さっそく入場します。
大人運賃は全線170円均一で、QRコード式の乗車券となっていました。
なんでもスカイレールは国内の鉄道で初めてIC乗車券、QRコード乗車券が導入したのだとか。
運行時刻はこんな感じ。
データイムは15分間隔で、朝夕ラッシュ時は増発される体系となっています。
通常朝ラッシュが本数のピークであることが多いですが、この路線はやはり「登山需要」のほうが多いためか、夕ラッシュにピークを迎えるの面白いですね。
改札を通って3階ホームへと上がります。
ゆりかもめなどの新交通システムと同じように、ホームドアが設置されています。
さっそく乗車・・・と思ったら、すでに満員でした。
廃止が発表されてから「葬式需要」が多くなったようで、この日も同業さんをチラホラと見かけていたのですが、定員の少なさもあって混みあっておりました。
てことで1本見送って次の列車に乗ることに。
山の上から列車が降りてきました。
あちらもギュウギュウ詰めですね(笑)。
出発ホームと到着ホームは分離されているので、列車到着後は「回送」となり、終端部でターンしたのち出発ホームへ移動してきました。
車内はこんな感じ。
車体前後それぞれに4人掛けベンチシートが設置されており、さらに立ち客が8名ほど乗れるくらいの大きさです。
スキー場のゴンドラを頑丈にしたような感じです。
出発する直前、対向に空の列車がやってきました。
ホーム上に作業着を着た係員がいたので、設備点検目的の臨時車両が適時増発されていたようです。
定刻になって列車はみどり口駅を発車。
まずは駅前の斜面を一気に駆け上がっていきます。
見た目はゴンドラですが、桁の上を走行するので乗り心地としてはモノレールに近い感覚でした。
この日は秋晴れに恵まれたこともあり、車窓はなかなか綺麗でした。
11月上旬だったので、もう少し遅かったら紅葉も進んで綺麗だったのでしょうね。
数分で唯一の中間駅であるみどり中街駅に到着。
タイミングよく対向列車とすれ違いました。
こちらの列車では乗降は無く、みどり中街駅を発車。
このあたりは軌道が住宅の上を通っているので、なかなかの絶景ですね。
長いストレートを抜けたあと、右へカーブしながら急勾配を一気に登ります。
この線形は凄いですねぇ・・・。
粘着式車輪動力では、こんな急坂は絶対登れないでしょうな。
みどり中央駅到着直前、路線の全景が見えました。
直線で山を登るのではなく、地形に沿って敷設されているのが分かります。
普通のロープウェーではこのような線形で通すことは難しいので、駅を自由に設置できるのがスカイレール方式の利点でしょうが、普及しなかったのは残念でしたね。
といった感じで、わずか5分ほどのスカイレールの旅が終了です。
反対側のホームには、下り列車用の車両がスタンバイしていました。
乗客を降ろすと山を下りるため、反対側のホームへ移動していきました。
みどり中央駅は保守基地も兼ねているようで、運用から外れている搬器が留置されていました。
通常の鉄道車両と比べて、搬器の構造は単純でしょうから、保守拠点もこのコンパクトさを実現できているのでしょうね。
改札を出て駅舎をパチリと。
当たり前ですが、行き止まり構造の駅舎になっています。
ですが軌道の延長方向には緑道が続いています。
みどり中央駅は、みどり坂団地の最上段エリアの入口にあるのですが、衛星写真で見るとこの緑道は最上段エリアの奥まで伸びています。
なのでこの緑道は延伸時を見越しての用地と思われますが、残念ながらそれは実現せずにスカイレールは廃止されてしまいました・・・。