川崎鶴見鉄道録

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「うめ星電車」で和歌山電鐵を旅する JR東海 完乗の旅 3日目⑦

前の記事はこちら。

 

前回の記事で、3日目のメインであった紀勢本線の完全踏破を達成したものの、時間は16時半を回ったところと、宿入りするにはちと早い時間。

なにをして時間を潰すかなぁ~と考えていたら、和歌山駅のコンコースでこんな看板を見つけました。

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和歌山駅には和歌山電鐵も乗り入れていることに気付いたのです。

調べてみると、暇つぶしにはお手頃な路線のようなので、急遽乗り潰し路線に追加する形で和歌山電鐵 貴志川線乗り鉄することにしました。

 

和歌山電鐵 貴志川線は、JR和歌山駅の9番線を間借りするような形で乗り入れており、改札内コンコースも一体になっています。

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9番線へ上る階段には、和歌山電鐵のマスコット「たま駅長」のイラストがズラリと飾られていました。

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ホームに上がって、駅名標を撮影。

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この駅名標の様式、どっかで見たことあるなぁ~と思ったら、これは南海電鉄駅名標と同じです。

というのも、和歌山電鐵 貴志川線はもともと南海貴志川線として運行されていた路線で、2006年に南海から分離した経緯があるので、駅名標も南海時代のものを引き続き使用しているものと思われます。

 

当然ながら、和歌山電鐵では青春18きっぷは使えないため、窓口で1日乗車券を購入しました。

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写真の値段は780円となっていますが、2019年10月の消費税増税に伴い、2020年5月現在は800円に値上げされているのでご注意を。

ちなみに両端駅の和歌山~貴志の片道運賃が410円なので、両端を単純往復するだけで元が取れます。

 

切符も買ったところで、さっそく和歌山電鐵に初乗車します。

24本目 和歌山電鐵 貴志川線 列番不明 伊太祈曽行き 和歌山(16:49)⇒伊太祈曽(17:09)

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車両は見るからに特別塗装である、その名も「うめ星電車」であります。

目的地は終端の貴志駅ですが、この列車は途中の伊太祈曽駅止まりなものの、なにやら面白そうな車両だったので、とりあえず伊太祈曽駅まで移動します。

 

列車は定刻に和歌山駅を発車。

乗車率は、座席が4割程度埋まるくらいでした。

 

ぶっちゃけ車窓は大した見どころも無く、伊太祈曽駅に到着です。

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24本目 和歌山電鐵 貴志川線 和歌山⇒伊太祈曽
乗車時間:20分
移動距離:8.0km

 

そして今回の見どころ?は、この「うめ星電車」の内装です。

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目の肥えた鉄道オタクであれば、この外観を見れば「誰がデザインしたのか?」というのは、お気づきの方も多いでしょう。

 

正解は、車内に飾られていたポスターのサインにありました。

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この電車のデザインを担当したのは、JR九州のデザイナーとしてお馴染みの水戸岡鋭治さんです。

実は和歌山電鐵は、岡山電気軌道などを有する「両備グループ」の一員であり、両備グループ鉄道車両やバス車両のデザインを水戸岡さんが担当していることから、この「うめ星電車」もデザインしたようですね。

 

そんなわけで、車内は「水戸岡デザイン」が随所に散りばめられています。

まずは和歌山駅方の車両の内装から。

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近年の水戸岡デザインと同じく、床材や背もたれに木材をふんだんに使用し、座席モケットは唐草模様でまとめられています。

そして左右で座席の形状が異なっており、片方がソファのような形状になっているのが特徴ですかね。

 

続いて貴志駅方の車両。

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基本は同じなんですが、シートの形状のほか窓の格子細工が省略されていたり、微妙に差異がありますね。

 

背もたれやモケットは、同じように見えて微妙に形状や模様が異なっており、結構凝っている造りなのがわかります。

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和歌山駅方の車両中間には、謎の円筒状の物体があります。

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子供の遊び場でしょうか?

 

続いて細かいところ観察してみます。

一番驚いたのは、貴志駅方車両の連結面にあるこのスペース。

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車端部スペースを大きく使って、ショーケースが備え付けられています。

 

ショーケースの中には、地元の特産品や和歌山電鐵グッズが飾られていました。

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この車両、観光列車ではなく普通の通勤列車でっせ?

気合入りまくりですね。

 

反対側の車両の車端部は、テーブル付きの優雅なソファが据え置かれています。

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こんなソファで通勤してみたいですなぁ。

 

車両の連結部には、暖簾が掛かっています。

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鴨居の上の部分にも「うめ星電車」のシンボルマークが装飾されており、芸が細かいですね。

 

天井には、梅の木の模様が描かれています。

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吊り手も木材を使用し、天井や床面と一体化しています。

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窓のブラインドには、すだれが使用されています。

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さらに和歌山駅方の車両には、窓枠に格子細工がはめ込まれています。

 

ドア部もデザイン性のあるシートが貼り付けられています。

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そして車内には、こんなものが掲げられていました。

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「うめぼしでんしゃ サポーター」なるボードが掲示されていました。

これは既存車両を「うめ星電車」に改造する際、10,000円以上の寄付をした個人や法人に対する返礼として掲げているそうですが、こうみると結構な寄付が集まったんじゃないでしょうか。

 

といった感じで「うめ星電車」のご紹介しました。

この列車の存在自体は前々から知っていましたが、想像以上に凝った作りで結構楽しめたので、ご興味あるかたは乗りに来てみてください。

 

「うめ星電車」とは伊太祈曽駅で別れ、引き続き和歌山電鐵の旅を続けます。