川崎鶴見鉄道録

川崎・鶴見界隈の鉄道に関するブログ

青森駅デルタ線散策 青森撮り鉄遠征①

今回よりまたまた撮り鉄遠征の新シリーズを開始いたします。

本遠征の舞台となるのは青森県でございます。

 

今回の遠征は2020年9月に敢行したのですが、実は先日まで連載していた日本海遠征から2週連続の遠征でありました。

なんで2週連続で東北地方に赴いたかというと、今回は木曜日の夜間に青森市への所用が突如入り、そのついでに週末を青森県内で撮り鉄することにしたから。

そんな動機ゆえに、特にネタ列車が走るわけではないのですが、青森県内で気になっていた日常ネタがいくつかあったので、それらを撮影することにしたのです。

というわけで、そんなゆる~い遠征の模様を綴ってまいります。

 


 

まず初日は昼と夜に所用があったので、夕方に空き時間が出来ておりました。

その時間を利用して、まず気になっていたスポット1つ目である青森駅のデルタ線を散策することに。

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googleマップより

青森駅は「青い森鉄道(旧東北本線)」「奥羽本線」「津軽線」の3本が集結する駅ですが、旧青函連絡船の桟橋と接続するため行き止まり構造となっています。

そのため青森駅周辺は、東西から青森駅に進入する2経路と、青い森鉄道と奥羽・津軽線を短絡する経路を合わせてデルタ線を形成しているのが特徴です。

 

このデルタ線、特に本州~北海道を直通する列車にとって重要な設備でして、青函特急や北海道ブルトレで幾度も通過はしたものの、じっくりと見る機会がなかなかありませんでした。

そんなわけで今回は、このデルタ線周辺を徒歩で散策したいと思います。

 

まずはスタート地点である青森駅前へ。

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青森駅では橋上駅舎化と再開発工事が進行中で、訪問当時(2020年9月)はこの4代目の地上駅舎が運用されていましたが、2021年3月27日に5代目となる橋上新駅舎に切り替えられました。

長年「青森の顔」として親しまれたこの4代目駅舎は現在解体工事中で、解体後は新しい駅ビルが建つそうです。

すべてが完成するまでは数年かかりそうですが、新しい「青森の顔」がどうなるか楽しみでございます。

 

そんな青森駅から徒歩で移動し、まずは駅の南側にある跨線橋へ。

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線路を跨ぐようにシートで覆われている構造物は、新駅舎と同時に供用を開始する自由通路です。

訪問当時の青森駅は、東西に改札がある構造なため駅利用者以外の人は通り抜けできず、駅を跨ぐ移動は駅南側の跨線橋に迂回しなければなりませんでしたが、新駅舎開業後は利便性が増したようです。

 

さらに駅構内をよく見ると、軌道の工事も行われていました。

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西口にも再開発計画があるみたいですが、それに関連しているのでしょうかね?

 

跨線橋から南側を見てみます。

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左側が青い森鉄道、右側が奥羽本線津軽線へと繋がっています。

 

さらに南側にあるもう1つの跨線橋へ移動。

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東西から急カーブして青森駅に進入する線形になっているのが分かります。

中心部分は1辺約300mほどの三角形の土地があり、住宅を中心とした市街地になっているようです。

 

今度は跨線橋から青い森鉄道線沿いに歩き、デルタ線の「右辺」の真ん中にある古川踏切へとやってきました。

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この踏切はデルタ線の途中にあり、東からやってきた青い森鉄道線がほぼ直角に北へと進路を変えるため、結構な急カーブとなっています。

こちらは青森駅方の様子。

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奥に見えるのが先ほどの跨線橋です。

 

こちらは八戸方。

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左側の線路は上り勾配になっています。

 

ちょうど青森行きの普通列車がやってきました。

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こちらは2013年に青い森鉄道E721系をベースに新造した703系で、2編成しかない若干レアな車両です。

 

急カーブを曲がって青森駅に進入していきました。

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この写真を見てお気づきの方もいると思いますが、よく見ると複線の右側を走行しているのが分かると思います。

実はこの部分、一見複線に見えて青い森鉄道本線と青森総合鉄道部への接続線との単線並列となっている、ちょっと変わった線路配置となっているのです。

 

そのまま線路沿いに歩いて、今度は「右辺」と「底辺」の接続点へと移動。

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一番右側の高架橋が青い森鉄道本線、その左にある信号機群の真横にある単線が青森駅との接続線、一番左の単線がデルタ線の「底辺」にあたる奥羽本線の貨物支線となっています。

 

一方の青森総合鉄道部側。

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青い森鉄道の本線が高架橋になっていますが、これは青函連絡船在りしころ(当時)青森操車場と青函連絡船の埠頭を行き来する貨物列車を効率的に運行させるため、旅客線を嵩上げして立体交差させた名残だそうな。

青函連絡船廃止・青函トンネル開業後の現在は、その役割を奥羽本線貨物支線に譲ったため地上線ははがされ、かつての栄華を伝えるモニュメントのようになっています。

 

さらに歩き進んで、デルタ線の「東の頂点」に当たる青森総合鉄道部へ。

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青森総合鉄道部は、本州~北海道を直通する貨物列車の連接点である「青森信号場」と、乗務員の基地である「青森機関区」を統合した組織で、JR貨物青函エリアの本州側の拠点となっています。

 

青森総合鉄道部の上に架かる跨線橋に登って全景を見てみることに。

南側には機関区があり、EH500とEH800が待機していました。

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北海道新幹線開業後、青函トンネルはEH800しか通過できなくなったので、貨物列車は東北本線系統・日本海縦貫線系統とも、ここで必ず機関車交換を行います。

青森機関区自体には機関車は配置されていないものの、運行上重要な基地となっています。

 

北側にはJR貨物の青森信号場があります。

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青森信号場は機関車交換しか行わず貨物ホームが無いので、着発線が4線だけの比較的シンプルな造りです。

ちなみに青森地区の貨物駅機能は、ここから八戸側に2駅隣の東青森駅が担っています。

 

そんなとき、ちょうど東北本線回りの貨物列車が到着しました。

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下の写真の右側2線が青い森鉄道の上下本線で、右奥をよく見ると複線から単線に変化していることが分かると思います。

つまり青森信号場から青森駅までのわずかな区間だけが、単線で運用されているということですね。

 

貨物列車のほうは、本州区間を牽引したEH500-33から、青函区間を牽引するEH800-3へとバトンタッチします。

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機関車交換が済んだところで、出発シーンを近くで見るため跨線橋を降りて線路脇へ移動すると、ナイスタイミングで列車が出発していきました。

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列番不明 EH800-3

 

そのまま青森駅側に歩くと、引き上げ線にEH800がもう1機待機しているのを発見。

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どうやら北海道方面への貨物列車が、続行で運転されそうな気配ですね。

 

というわけで今度は、デルタ線の「底辺」にあたる奥羽本線貨物支線の中間地点にある第一大野踏切へと移動します。

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この踏切は、先ほどの古川踏切と同じ道路上に設置されていて、100mほど離れた場所にあります。

上の写真をよく見ると奥に古川踏切があるのが分かります。

 

この「底辺」の部分は、青森駅を経由せずに東北本線(現青い森鉄道線)と奥羽本線を短絡するための線路として作られたもので、奥羽本線の貨物支線という扱いになっています。

こちらが先ほどの青森信号場方面。

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踏切のすぐ真横に、青森信号場と青森機関区の場内信号機が設置されています。

奥羽本線・北海道方面から列車は、青森信号場を経由して東北本線方面へと抜けることができます。

 

逆側はこんな感じ。

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左カーブの奥に信号機が見えますが、あの先に奥羽本線津軽線との連接点である滝内信号所があります。

東北本線から来た列車は、この線路を通って日本海縦貫線方面と北海道方面へ抜けることが出来ます。

 

そして青森信号場を覗くと、先ほどの読み通りEH500牽引の貨物列車が東北本線側から到着していました。

しばらく待機していると、北海道方面への貨物列車が登場。

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列番不明 EH800-14

特に狙っていたわけでは無かったので、偶然貨物を撮影出来てラッキーでした。

このEH800は、青函地区というかなり限られたエリアに足を運ばないと撮影できない被写体なので、私にとってはこんなお手軽カットも貴重なのです。

 

貨物列車を撮影後は、奥羽本線貨物支線沿いに西へ歩きます。

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奥羽本線貨物支線は全線単線で、住宅地の中を貫くように敷設されています。

なんとなく我が地元の尻手短絡線に似た趣で、個人的に妙な親近感がわいた路線でありました(笑)

 

そのまま西へ歩いて、奥羽本線との合流点にある千刈踏切へ。

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踏切から東側を見てみます。

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一番右の単線が歩いてきた奥羽本線貨物支線、左カーブしている3本が青森駅へと至る線路です。

 

反対側を見てみます。

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左から合流してきたのが青森信号場からの奥羽本線貨物支線で、そこから来た線路が右3本の線路に順繰りと転線する構造となっています。

奥羽本線から貨物支線が分岐するこの場所は、滝内信号所と呼ばれています。

 

ちなみに滝内信号所は、奥羽本線秋田方と津軽線は直接繋がっていません。

そのため日本海縦貫線~北海道直通の貨物列車や、かつての「トワイライトエクスプレス」は、青森信号場や青森駅スイッチバックする必要があります。

 

そして右側の3線は一見複線に見えますが、最初に訪れた右辺側と同じく右から津軽線盛岡車両センター森派出所の入出庫線・奥羽本線の単線が3本並列している構造となっています。

それを確認するため、信号所の横で撮り鉄をすることに。

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こちらは津軽線 蟹田行き普通列車で、一番北側の線路を通ってきました。

 

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続いては奥羽本線 弘前行きの普通列車で、こちらは一番南側の線路を通ります。

 

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最後は盛岡車両センター森派出所からの回送列車で、真ん中の線路を通ります。

このキハ100形は、青森駅から大湊線 大湊駅まで直通する「快速しもきた」に使用される車両です。

 

最後はデルタ線の「左辺」にあたる3線区間を歩きます。

このあたりも青森駅へ向けてほぼ直角に進路を変えるため、かなりの急カーブとなっています。

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途中には青森駅の場内信号機がありました。

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進入してくる路線が3つ、有効な番線が10線もあるので、各信号機とも進路表示器を併用した構成になっています。

デルタ線の反対側からは青い森鉄道・青森総合鉄道部から進入することもできるので、青森駅場内の進路制御は旅客駅としては日本屈指の複雑さなんじゃないでしょうかね。

 

デルタ線をぐるっと一周して、青森駅西口に戻ってきました。

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といった感じで、青森駅デルタ線の散策は終了です。

前々から気になっていた存在でしたが、実際に徒歩で観察してみると、列車内から見るだけでは気付けない点に色々と気付けて、結構面白かったですね。

 

このあとは、青森駅の工事の様子を観察してみることにします。