川崎鶴見鉄道録

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変わりゆく北海道の鉄路を記録する旅 3日目⑤ 存廃に揺れる日高本線に乗る

前の記事はこちら。

変わりゆく北海道の鉄路を記録する旅 3日目④ 「わがまちご当地入場券」を集める その1

 

苫小牧駅からは日高本線乗り鉄します。

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発車標は「様似」となっていますが・・・

 

日高本線は高潮・台風による路盤や橋の流出により、鵡川~様似間で列車の運行を取りやめています。

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実際の列車はすべて鵡川止まりで、発車標には接続する代行バスの終点が表示されているのです。

そんな日高本線ですが、2016年にJR北海道鵡川~様似間の復旧を断念し廃止する意思を正式に表明し、現在は鉄路廃止後の交通体系の在り方を沿線自治体と協議している段階となっています。

 

では、日高本線「苫小牧~鵡川間に縮小されるのか」というと、現実はそんなに甘くはありません

なぜなら、残りの苫小牧~鵡川間もまたJR北海道より「当社単独では維持することが困難な線区」に指定されており、存廃の危機に立たされているのです。

 

鵡川~様似間が廃止されれば、日高本線路線長は30kmいう枝線になります。

日高本線の輸送密度は500人台で起点の苫小牧駅までは30km、そして鵡川以遠にはバスで乗り換えなければならない状況で、苫小牧~鵡川間だけ鉄路を残す理由はあるか?と考えたとき鉄路を残す」という結論に転ぶでしょうか?

 

 

普通に考えれば「ありえない」でしょう。

近い将来、日高本線は全線廃止になる運命だと私は考えます。

 

そんな「外れたほうが良い私見が当たっても悔いが無いように、残された苫小牧~鵡川駅間を乗り鉄しようというのが、今回の乗り鉄の目的です。

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充当車両はキハ40形1700番台と日高本線色の350番台の2両編成。

 

せっかく日高本線に乗るので、350番台に乗り込みます。

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座席モケットは車体と同じくパープル系に替えられています。

 

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350番台は札沼線用の400番台と同じく非冷房となっており、扇風機カバーも「JNR」のものがそのまま使われています。

 

列車は定刻に苫小牧駅を発車。

乗車率は全ボックスがさらっと埋まる程度でした。

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苫小牧貨物駅の横を通過すると室蘭本線から分かれて海側へカーブします。

 

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苫小牧周辺は北海道随一の工業地帯であり古くは製紙業、現在は自動車関連の工場が立ち並び、日高本線の車窓からもモクモクと煙を出す煙突が見えます。

 

勇払駅を過ぎると勇払原野を走ります。

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原野の向こうに、苫小牧東港のガントリークレーンが見えました。

 

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こちらは北海道電力の苫東厚真発電所

北海道最大の石炭火力発電所です。

 

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線路ギリギリまで石炭が野積みされています。

 

日高本線と言えば「海岸線沿いを走る自然が美しい路線」というイメージをもたれることが多いと思いますが、それは「廃止される区間の話」であって、残された区間「何もない原野」「重工業地帯」が織り成す、ある意味で日本離れした景色が広がっているのです。

 

そんな日高本線の旅もわずか30分で終了し、終点の鵡川駅に到着。

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なぜか列車は駅舎とは反対の番線に入線しました。

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後で調べたら分岐器がスプリングポイントなので、苫小牧方から駅舎のある番線に進入できないみたいです。

 

折り返し列車の発車時刻まで駅前を散策。

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駅舎は立派ですが無人駅です。

 

駅前には静内行きの代行バスが停車していました。

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終点の静内では様似行きの代行バスと連絡しており、列車代行なので青春18きっぷでも乗車できます。

 

駅前には特に何もなかったので、ホームに戻ります。

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様似方の信号機は赤を現示していますが、もう青を現示することはありません。

 

この線路の先には、こんな景色が広がっていました。

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日高本線には1度しか訪れたことが無く、このときは生憎の雨空だったので晴れたときに再訪したかったのですが、その願いは叶いませんでした。

 

折り返し列車の時刻が来たので乗り込みます。

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行きは海側の座席に座ったので、帰りは山側の座席に座りました。

 

海側と違い山側はあまり開発されておらず、手つかずの原野が残っています。

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200万都市札幌からわずか1時間でこんな風景が広がるとは、さすが北海道。

夕陽に照らされた原野に映った列車の影と、空に浮かぶ白い月が美しかったです。

 

終点の苫小牧駅に到着。

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1時間ほどで苫小牧~鵡川を往復してきました。

 

廃止が決定した鵡川~様似だけでなく、残された苫小牧~鵡川の行く末も気になる日高本線乗り鉄旅でした。

 

次の記事はこちら。

変わりゆく北海道の鉄路を記録する旅 3日目⑥ 「わがまちご当地入場券」を集める その2

 

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