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仁賀保駅からは特急「いなほ」で羽越本線を南下し、新潟駅へと向かいます。
そして今回は、貧乏な平サラリーマンには似つかわしくないグリーン車に乗車いたします!!
なぜ奮発してグリーン車を手配したかというと「いなほ」のグリーン車は在来線特急車両の中でも破格のシートスペックを誇ることで知られており、前々より一度体験してみたかったのです。
私の行動習慣では、公私通じて羽越本線の利用機会自体が皆無ゆえ乗れずにいたので、今回を逃すと当分機会は巡って来ないと思い、グリーン車を選択いたしました。
JR東日本の在来線特急列車では数少ない3列配置です。
首都圏のショボい4列グリーン座席に慣れていると、3列というだけで豪華に感じてしまいますな(笑)。
シートはこんな感じ。
前後とは大型パーティションで仕切られていますが、窓が1列につき2枚が割り当てられているため圧迫感は無く、ちょっとした個室感と開放感を両立する、かなり贅沢な造りになっています。
リクライニングも深く倒れますが、パーティションのおかげで後列への配慮が全く不要なのも良いですね。
なぜ「いなほ」のグリーン車がこんなにゆとりある空間なのかというと、それはE653系の車体構造に由来しています。
「いなほ」に使用されているE653系1000番台は、もともと常磐線「フレッシュひたち」用に新造された車両ですが、常磐線時代はオール普通車として運用されていたため、グリーン車が存在しませんでした。
それを「いなほ」転用時にグリーン車を新設する際、車体を改造せずに窓割とシートピッチと一致させるためシートピッチ910mmの普通座席2列分をグリーン車1列分に割り当てたことから、シートピッチ1820mmという驚異的な座席配置が誕生したのです。
ちなみにグランクラスが1300mm、JAL国内線ファーストクラスが1340mm、ANAプレミアムクラスが1270mmなのを考えると、E653系1000番台のグリーン車がいかに破格のスペックなのかがお分かりになるでしょう。
ただしパーティションが床面に突き刺さっている構造なため、破格のシートピッチの割に足はさほど延ばせません。
身長175cmの私には、もうちょっと足を延ばせるスペースが欲しかったかも。
これで足元だけ切り欠きがあれば、文句無しなんですがね。
客室内の新潟方には、ちょっとしたフリースペースもあります。
新潟~秋田間を乗り通すと3時間半程度かかるので、ちょっとした息抜きスポットになるかも。
車端の壁は木目調に、ドアのガラスは若干スモークがかかったものに交換され、上級クラスの雰囲気を醸し出しています。
しかし天井は普通車時代から変わっていません。
グリーン車にしては、少々安っぽさを感じるのは否めませんね。
さらに気になる点がもう一つ。
E653系1000番台のグリーン車にはコンセントが付いていますが、2人掛け座席にも1口しか付いていないのです。
転用改造された2014年ごろには、E259系やE657系などで全席コンセントは当たり前になりつつあった時代、しかもグリーン車ということも鑑みれば少々中途半端だなという印象でした。
ついでに普通車も見物してみることに。
こちらはモケットはがらりと変わりましたが、シート自体は常磐線時代の座面スライド付きのものから変わっていません。
ただ常磐線時代には無かったチケットホルダーが追加されました。
これは「らくらくトレイン村上」などホームライナーの整理券を差しておく用途でしょうかね。
といった感じで車内見物を終えて自席に戻るころ列車は女鹿付近に差しかかかり、車窓には風光明媚な景色が広がっていました。
このあたりは日本海に沈む夕陽が見られることで有名で、この日もなかなか綺麗な光景が広がっておりました。
今度撮り鉄に訪れたときは、綺麗な姿を拝みたいものです。
列車は酒田駅に到着。
ここ酒田駅と次の鶴岡駅で多少の乗降があったものの、列車全体としてはガラガラのままでした。
ただ通過時刻が遅くてかなり暗く、ほどんど見えなかったのが残念でした・・・。
このあとは真っ暗になってしまったので、フルリクライニングしてグリーン座席をたっぷりと堪能。
うたた寝から目覚めると新発田駅を発車したところで、グリーン車は私一人になっていました。
鶴岡駅出発時点では私以外にも6~7名いたのですが、新潟駅まで乗り通したのが私1人だけというのは意外でしたね。
それから数十分で終点の新潟駅に到着です。
かなり快適な旅でしたねぇ~。
こんなグリーン車が「あずさ」に入ってくれたらもっと利用したいのですがね。
新潟駅と言えば、近年大改良工事が行われています。
「いなほ」の到着ホームでは、期せずしてそれを体感すること出来ました。
在来線ホームの一部が高架化されたことにより、在来線5番ホームとすでに高架済みだった新幹線ホームが平面乗り換え可能になったのです。
5番線には特急列車が優先して割り当てられ、、今回のように「いなほ」と上越新幹線を乗り継ぐ際は階段を一切使わずに乗り継ぐことができるよう、新幹線側のホーム運用も配慮されているようですね。
高架化してから新潟駅を利用するのは初めてなので、ついでに構内を見物することに。
在来線ホームは、大きなアーチを描いた1枚屋根ですっぽり覆われる構造となっており、かなりの開放感がある設計になっています。
現在は2~5番ホームだけ運用されており、2番ホームの外側に1番ホームを増設する工事が行われていました。
1番ホームは2021年度中に運用を開始する予定らしく、2020年9月時点で基礎はほぼ出来上がっている状態でした。
一方従来の地平ホームは、行き止まり式の8・9番ホームが引き続き運用中です。
こちらも1番ホーム運用開始とともに役目を終えて、新潟駅の高架化はすべて完了となるようです。
あの味のある地平ホームは結構好きだったんですが、これも時代の流れでしょうかね。
最後に新潟駅舎をパチリ。
後から気付きましたが、こちらは新幹線口なので高架化完了後もあまり変わらないかもしれませんね。
このあとは宿に直行・・・なのですが、この日の宿泊地は新潟市ではなく、約70km離れた長岡市。
しかも午後9時からレンタカーを借りなおして車移動で向かうという、相変わらず滅茶苦茶な行程でございます (^_^;)
夜中の関越道をドライブして、長岡インター近くのお宿に到着。
お部屋は普通のシングルルームでした。
といった感じで2日目が終了。