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前2回とも編成写真主体で撮影した結果、全形式をあらかた撮影出来て飽きてきたので、今回は富山の街並みを入れたカットを撮影することにします。
そんで、前回の撮影地である県庁前電停へは、富山駅前から道路を散歩して向かったのですが、実は道中にあった「とあるビル」が気になっておりました。
そのビルがこちら。
ビルそのものというより、屋上にある「マルフク看板」に惹かれたのでございます。
いまのお若い人の中には「マルフクってなに?」と知らない方もいると思いますが、マルフクはかつて存在した貸金業者です。
マルフクはサラ金の先駆けみたいな金融業者ですが、大きな特徴は「固定電話の使用権利(電話加入権)」を担保にして融資していたこと。
現代の価値観では想像つきにくいですが、一般用電話回線が普及途上にあった昭和の時代には「固定電話を持つことに一定の価値があった」ため、その権利を担保としてお金を貸すビジネスモデルが成立していたのです。
簡単に言うと「電話回線専門の質屋」といったところでしょうかね。
さらにマルフクは広告戦略も特徴的で、全国各地の民家や小屋の壁にホーロー看板を設置して、自社の存在をアピールしていました。
かつて北海道岩見沢市に存在したマルフク看板(2009年撮影、現在は撤去済み)
この紅白デザインのホーロー看板は視認性抜群、かつ安価で大量製造でき、メンテナンスもほぼ不要なので、その費用対効果は絶大だったそうな。
私が子供の頃は、ちょっと田舎にドライブへ出かければ、国道沿いなどでマルフク看板が必ず目に入ったものです。
しかしサラ金やカードローンなど同業他社の台頭、さらに致命的だったのは携帯電話の普及により家庭向け固定電話の存在価値が下落したことで、電話加入権を担保にするビジネスモデルが破綻。
そして2002年にマルフクは金融事業を停止したものの、このマルフク看板は撤去されず放置されたため、自然に流れに任せて朽ち果てる運命をたどることになるのですが、そんな哀愁漂うマルフク看板に惹かれたマニアたちによって「マルフク看板まとめサイト」なるものも存在するようです。
そんな滅びゆくマルフク看板がですよ・・・
この富山の地では、朽ち果てたホーロー看板どころか、今にも光り輝きそうなクソデカネオン看板が駅前の一等地に残っていたのです!
ちなみにこのビルには、かつてマルフク富山営業所が入居していたそうで、営業所閉鎖から20年以上も放置されているそうな。
令和の時代にこんな代物に出会うとは、ちょっと感動すらありましたね(笑)。
とはいえ、このマルフク看板もいつ撤去されてもおかしくないので、今回の街並みカットはこの看板を添えて狙ってみることにしました。
まずはこのビルにマルフク富山営業所があった頃から走っているだろう7000形7021号車が通過。
この車両も屋根に広告看板が取り付けてられており、自社の高速バスの広告を掲出しているようですが、マルフク看板並みにボロボロなのがいい味を出していますね(笑)。
続いてはT100形が通過。
T100形は2010年登場なので、すでに営業所は無かったはずです。
続いてはパト電車が南富山駅前から戻ってきました。
方向幕を見ると、前述の7021号車と掲出内容が異なっていますが、なんか規則性があるのでしょうか?
お次は日野自動車ラッピングの8000形8003号車。
マルフクと同じ紅白塗装なので調和がとれてますね(笑)。
そして本日4回目の撮影となる0600形0607号車。
そして所用の時間が迫ってきて、これで切り上げるかと思ったら、最後の最後でこいつが登場。
この7000形7022号車は、富山軌道線100周年を記念して水戸岡鋭治がデザインした「レトロ電車」という観光列車に改造されています。
富山地鉄のホームページには土休日のみ固定ダイヤで運転と案内されており、ド平日なこの日は運転されないはずなのに、突発の代走で運用入りしていたのか偶然撮影することが出来ました。
なかなか好いデザインだなと思っていたので、運用入りを知っていれば編成写真で押さえたいところでしたが、まあ撮れただけラッキーでしたかね。
北陸に来たなら「8番らーめん」は外せませぬな。
野菜ラーメンと半チャーハンセットを発注。
5月の撮り鉄遠征(いまだ未更新・・・)でも食したので、さして久々感は無かったですが、美味しくいただきました。
このあとは気持ちをビシッと入れ替えて所用をこなし、富山来訪の目的を無事に完遂。
終えたころには18時を回っていたので、またまた富山名物を堪能することに。
なんでも富山県は回転寿司のレベルが高いらしく、職場の同僚にも寿司食って来いと言われておりました。
その中でも有名店のひとつである「すし玉」が駅ビルに入っていたので、富山の回転寿司を体験してみることに。
回転レーンの中に職人さんがいて注文後に握ってくれる、所謂「お高い系回転寿司」の部類ですね。
これはお高い系の定番スタイルで珍しくはありませんが、特徴としては子供向けメニューがほぼ無く、酒に合いそうな一品料理が充実しており、完全に大人をターゲットにした店という印象でした。
それだけに味は文句なしなので、「富山に来たからちょっと贅沢したい!」という大人の観光客のニーズにぴったりだと思います。
上手い寿司をたらふく食った後は甘味補給を。
富山湾の深層水を使用した塩を使ったソフトクリームをいただきました。
てな感じで富山を満喫したのち、新幹線で帰路に着きました。
これにて終了でございます。
といった感じで、初めての富山地鉄の路面電車撮影記録をお届けしました。
半日にも満たない短時間の撮影でしたが、まずまずの成果を得られたかなと思います。
今回は路面電車の撮影のみで、本線の撮影は出来ず終いで残念・・・と思っていたのですが、なんとこの一か月後に再度富山へ行くことに!
てなわけで、次回はそちらの模様を纏めて綴ります。