本日も冬らしい寒さとなった川崎界隈。
そんな本日は、J-TREC横浜からとある車両の新製出場甲種列車が運転されました。
JR東日本が開発したFV-E991系「HYBARI」という新型車両で、この車両の特徴は酸素と水素の化学反応によって電気を発生させる燃料電池を搭載しています。
自車で発電した電気を蓄電池に充電しその電力でモーターを動かす車両としては、ディーゼルエンジンを搭載するHB-E210系などが実用化されていますが、そのエンジン部分を燃料電池に置き換えたというイメージでしょうかね。
鉄道車両への燃料電池搭載は、かつて「NEトレイン」ことクモヤE995形で試験が行われたことがありました。
「HYBARI」にもこのとき得られた知見が生かされているそうですが、新製当初から燃料電池車として製造されたのはFV-E991系が日本初。
そのためハイブリッド駆動部分はEV-E801系など蓄電池車の実績がある日立製作所、燃料電池部分は「SORA」など燃料電池自動車を実用化済みのトヨタ自動車がそれぞれ開発を担当しており、業界の垣根を超えたビッグプロジェクトと言えそうです。
そんな注目車両が初お目見えするということで、普段はあまり甲種列車に興味がない私も参戦することは事前に決めておりました。
しかし午前中に所用が入っていたうえ長引いてしまったため、当初布陣予定の総持寺踏切跡に現着するのがギリギリで、すでにキャパはいっぱい・・・。
というわけで今回は、生麦駅横の跨線橋にて狙うことにいたしました。
9596レ DE10 1666+FV-E991系「HYBARI」
今回の牽引はDE10 1666が担当でした。
後ろに付くのが今回の主役たる「HYBARI」です。
車体は烏山線で導入されている蓄電池車 EV-E301系をそのまま流用しているようで、外装は「燃料電池の化学反応から生まれる水を碧いしぶきと大地を潤すイメージでとらえ、スピード感と未来感を持たせたデザイン」とのことです。
ちなみに「HYBARI」は南武線内にある鎌倉車両センター中原支所に配属され、我が地元たる鶴見線や南武支線での走行試験が予定されています。
なんで鶴見線や南武支線が選ばれたかというと、実はこの「HYBARI」は単なる新型車両の開発に留まらないプロジェクトなのです。
経済産業省や川崎市が主体となって進めている水素戦略の一環で、鉄道事業における脱化石燃料・水素化の実証試験として行われることになっており、脱炭素社会に向けた国策的な面も持ち合わせている事業なのです。
EV化など急激に脱炭素化へ舵を切り始めた自動車業界と同様、軽油を燃料とするディーゼルエンジン駆動の気動車の置き換え方法の一つとして、「HYBARI」で培われた燃料電池技術を載せた車両が全国を走ることになるかもしれませんね。
といった感じで、本日の撮影はこれにて終了。
今度は鶴見線内で試運転が始まったら撮りに行きたいと思います。