川崎鶴見鉄道録

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「DENCHA」に乗って若松線を旅する その1 2021GW 西日本遠征⑨

前の記事はこちら。

 

門司港駅探訪を終えたあとは、鹿児島本線の下り列車に乗り込み、次なるスポットへ向けて移動開始です。

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乗車電は811系のリニューアル車に当たりました。

 

811系リニューアル車は初めてだったので、内装も軽く記録。

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原型車は転換式クロスシートを装備していましたが、リニューアルに伴いロングシートへと換装され、雰囲気がガラッと変わりました。

座席は見るからに水戸岡デザインですが、木を多用したデザインではなくオーソドックスなモケット座席で、JR九州の車両にしては大人しめな印象ですね。

 

そんな811系に揺られること約40分、折尾駅で下車します。

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折尾駅は現在立体高架化の工事中で、そこかしこで工事が行われておりました。

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半分だけ使用・もう半分は目張りされている発車標など、過渡期ならではの光景がたくさんあり、全体で見ると6~7割くらいの完成度といったところでしょうか。

完成は2024年度とのことで、これから佳境に入っていくようです。

 

といっても今回の目的は折尾駅見物では無く、折尾駅6・7番線に発着するこちら。

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気になっていたスポット2つ目は、折尾駅若松駅を結ぶ筑豊本線の通称若松線であります。

 

ホームに上がると、今回の主役がお出迎えしてくれました。

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今回若松線を訪れた理由は、若松線が未乗線だったこともひとつですが、それに加えここで活躍するBEC819系を一度乗車体験してみたかったからであります。

 

BEC819系には「DENCHA」という愛称が付けられており、車体にもデカデカとロゴが掲げられていました。

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BEC819系は「架線からの給電」と「内蔵蓄電池からの給電」の2通りで駆動する電車で、DENCHAの愛称も「DUAL ENERGY CHARGE TRAIN」から取られています。

若松線は非電化なので、かつてはキハ47形など気動車が運用されていましたが、それを「電車で置き換える」べく開発されたのがBEC819系です。

 

蓄電池車なので定期的に充電が必要となりますが、若松線の場合は折尾駅構内が電化されているので、折尾駅停車中にパンタグラフを上げて充電を行います。

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私がホームに上がった時も充電中の状態でした。

 

そして出発時刻の数分前になると「バチン」という音がして、パンタグラフが下降しました。

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電気回路を架線給電から蓄電池給電に切り替えたようですね。

 

一通り観察を終えたところで、列車は折尾駅を出発。

折尾駅構内を過ぎると架線が無くなり、非電化区間となります。

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BEC819系は「架線給電」と「内蔵蓄電池給電」の2通りで走行できますが、蓄電池モードの時は消費電力を抑えるためか、起動加速度が1.5 km/h/sという現代の電車とは思えない鈍足っぷりで、キハ40形(1.8km/h/s)にも劣るそうな (^_^;)

まあ高速化のために電車へ置き換えたわけではないので、スジも気動車時代と大差ないらしく鈍足でも支障ないみたいですね。

しかし気動車のようなアイドリング振動や変速ショックはもちろん発生せず、それでいて鈍い加速力のおかげ?で走りは滑らかなので、ある意味ではここでしか味わえない体験はできると思います。

 

車内には停車駅案内と走行モード表示を兼ねたモニターが付いていました。

・蓄電池モードでの加速状態

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発電ブレーキでの減速時

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・駅停車時

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このモニターは蓄電池車の先輩格のEV-E301系や、ハイブリット気動車HB-E210系なんかでもお馴染みのものですね。

ただ保守面では悪い意味で定評のあるJR九州、頃合いを見てあっさり撤去されそうな気がしないでもないですが・・・。

 

折尾駅から20分ほどで、終点の若松駅に到着です。

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これで未乗だった若松線の完乗を達成です。

 

乗客が捌けたところで、車内の様子も記録することに。

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座席はオールロングシートで、811系リニューアル車とは違い「The 水戸岡デザイン」という感じの木材が目を引くタイプ。

座面は817系の超絶ペラペラバリカタモケットから改善されたようで、若松線のような短距離乗車にはちょうどいい硬さで個人的には好みです。

 

仕切りの摺りガラスも811系と同等に見えて、専用デザインになっています。

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さらに床面にも、ちょっとした遊び心が散りばめられていました。

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単純なドットパターンに見せかけてQRコード風のデザインとなっており、ところどころにDENCHAのロゴマークもあしらわれていました。

この辺の凝りようというか抜け目なさは、さすがという感じですな。

 

ドアには特急「あそぼーい」のキャラクターである「くろちゃん」がいました。

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なぜここにいるんでしょうか?

 

デザインの次は蓄電池車ならではの機構面もチェック。

クモハの中間寄りには機器スペースが鎮座しています。

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蓄電池車の宿命として、数十キロの自力走行にも対応可能な大量の電池を積まなければならず、全ての機器を床下だけで収めることが難しいため、客室の一部を潰し機器スペースに割いています。

これも技術革新により次第に小さくなっていけば、いずれ「初期の蓄電池車らしいなぁ」とノスタルジックに思う時代が来るのでしょうかね?

 

さらにパンタグラフにもひと工夫。

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BEC819系は気動車の置き換えを目的にしているため、必然的に非電化ローカル線への入線も考慮しなければなりません。

そういった路線はトンネルの断面が電化区間よりも狭くなるため、パンタグラフが引っ掛からないように屋根を下げており、客室部分にせり出す構造になっています。

なんとなく583系のパン下っぽくも見え、個人的にはツボでございました。

 

 

といった感じで初めての「DENCHA」体験は終了。

前々から乗りたかった車両だったので、偶然九州に足を運んだおかげで乗車できたのはラッキーでありました。

 

このあとは若松駅を探検します。