川崎鶴見鉄道録

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変わりゆく北海道の鉄路を記録する旅 5日目⑦ 引退間近のスラントノーズに乗る その2

前の記事はこちら。

変わりゆく北海道の鉄路を記録する旅 5日目⑥ 引退間近のスラントノーズに乗る その1

 

東室蘭駅を発車後は、車内を見て回ることにします。
まずは今回乗車した1号車のキハ183-213から。

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「スラントノーズ車」の車内の特徴は、壁の様な「業務室扉」です。
この中にはサービス電源用の発電機などが納められています。

↓ 外から見た図

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扉は普段は施錠されていますが、非常時は開けられるようになっているみたいです。

 

デッキ部は国鉄風味がそのまま残されています。

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「くずもの入れ」も健在です。

車内全面禁煙が当り前となった現代では「たばこのすいがらは入れないでください」という表記にすら時代を感じますね。

 

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車端部の業務室は車内販売準備室に改造されています。

 

続いて2号車へ。

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キハ182-21が充当されていました。

 

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客室の自動ドアはキハ283系のものに交換されていますが、センサーは床面のパネルを踏み込む原形のままでした。
この「新旧入り交じり感」キハ183系初期車の醍醐味ですねぇ。

 

続いて客室内。

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座席はキハ283系の指定席車をグレードアップ座席に変更した際に発生したものが流用されており、モケットは785系リニューアル車や789系1000番台と同じものに張り替えられています。

私が北海道に住んでいた10年ほど前は、キハ183系初期車の座席といえばR55や「簡リク」ことR51のイメージでしたが、「後輩お下がり」のおかげで随分と快適になっているようですね。

 

続いて3号車へ。

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キハ182-31が充当されていました。

 

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こちらの車両は客室扉は、窓が小さい原形の姿をほぼ保っていましたが、センサーはタッチ式に更新という2号車とは真逆の姿になっていました。
そしてドアをオープン・・・

 

おおーーーっ!!

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この車両は車端の化粧板が原型の木目調のままでした。
まさか2018年になっても残っている車両があったなんて・・・。

なんでか知りませんが、今からおよそ17~8年前に夜行オホーツクの簡リク自由席で「初めての一人旅」に出たその当時の光景がフラッシュバックし、ちょっとした感動さえこみあげてきました。
この姿を見れただけで、乗った甲斐があったというものです。

 

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座席は2号車と同じく「キハ283系のお下がり」ですが、グリップが灰色なので元スーパー北斗用車両からの流用品ですね。

 

続いて4号車へ。

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キハ182-11が充当されていました。

 

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なんか開いてました。

閉めてあげようと思ったのですが、閉め方がよくわからん。

 

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せっかくなので中を撮影。
このメカメカしさがいいですねぇ。

 

こんなテプラも貼っていました。

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キハ183系列にはN183を除き「新鮮外気取込装置」という車外の空気を取り込む装置が備わっていますが、それを自動起動するための試験装置がキハ182-11には備わっているようですね。
実用化に至ったのかは知りませんが・・・。

 

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こちらは2号車のキハ182-21とほぼ同じ内装ですが、自動ドアセンサーはタッチ式に更新されていました。

 

続いては5号車へ。

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なんとキハ183系列現役最古参であるキハ182-3が充当されていました。
なんという僥倖なのでしょう・・・。

 

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現役最古参と言いながらも、キハ182-11と同じく座席もドアセンサーも更新されていました。

最後は札幌方先頭車の6号車へ。

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ステッカーが剥がれていますが、キハ183-220が充当されていました。

 

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座席は「キハ283系のお下がり」ではなく、なんと「785系のお下がり」でした。
789系1000番台投入前に行われた、785系リニューアル工事にて発生した座席を流用したようですね。

しかも背面テーブルのいくつかは状態が悪かったのか、R55から持ってきたと思われるブツが所々混じっているなど、なかなかカオスな状態・・・。
6号車は編成唯一の自由席車両なので、一番しょぼい座席をあてがったのでしょうか。

 

モケット柄は当時のキハ283系普通車が採用していたタンチョウ柄となっており
キハ283系の座席→785系と同じ柄のモケット
元785系の座席→キハ283系と同じ柄のモケット
という謎の入れ違いが編成内で発生しております・・・。

 

※2018/9/6訂正

正しくは「スーパーとかち」向けグレードアップ改造時に785系と同等のシートに換装され、それが現在まで残っているようです。
ご指摘ありがとうございました。

 

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車端部の業務用スペースは1号車のキハ183-213と違い車掌室となっているので
1号車:元オホーツク用のキハ183形
6号車:元とかち用のキハ183形
ということになります。

今となってはどちらの系統でも定期運用を持たないので、装備の差はさほど関係無くなりました。

 

今回乗車した北斗91号の編成車番はこちら。

↑函館

キハ183-213
キハ182-21
キハ182-31
キハ182-11
キハ182-3
キハ183-220

↓札幌

 

6両編成ながら、全ての車両が独自の仕様を持っており

姿かたちを変えながら歩んできたキハ183系の歴史

が1編成の中に凝縮されているような気さえ感じました。

 

車内を観察し終えたころには、すでに千歳線へ入っていました。

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この後は自分の席に戻り「スラントノーズ車最後の乗り鉄を堪能。

 

そして列車は終点の札幌駅に到着。

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札幌駅では、多くの鉄道ファンがお出迎えしておりました。

 

反対側のホームへ回ります。

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反対側のホームに回ったころには、残念ながら回送幕に替えられていました。

この後、苗穂運転所への発車を見送って5日目の活動は終了となりました。

 

実は今回の「スラントノーズ車の乗り鉄」は、当初行うつもりはありませんでした
けれど、臨時北斗の撮り鉄を行っているうちに「やっぱり乗り鉄もしたい」と衝動に駆られ、久々の山線乗り鉄も兼ねて前日に突貫で行程を立てて実行に移しました。

こうやって振り返ると、最後の最後でスラントノーズ車に乗ることが出来て良かったと思えるので、衝動に任せて行動したのが吉と出たようです。

 

そして、いつのまにやら36回にも渡って連載してしまった「変わりゆく北海道の鉄路を記録する旅」ですが、いよいよ次回が最終回となります。

 

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