川崎鶴見鉄道録

川崎・鶴見界隈の鉄道に関するブログ

京急2000形の側面方向幕を電動化する②

前の記事はこちら。

前回の記事で行った巻取機械の回路調査を踏まえ、今回は簡易指令器を自作することにしました。

 

2000形の巻取機械の制御方式は、下のような感じになっています。

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2000形の方向幕の横側にはバーコードが印刷されており、そのバーコードにはそれぞれのコマ番号が振られており、制御基板は指令器から表示すべき表示コマ値と、バーコードセンサーで読み取った現在のコマ値を比較し、モーターを制御して方向幕を上下させます。

つまり、上記緑色部分の指令器に相当するものを自作すれば、2000形の方向幕を意のままに操作することができるわけです。

 

・・・と口で言うのはとても簡単なのですが、実際のところ「本物の指令器と完全互換のものを自作する」というのはとんでもなく大変なことなのです。

なぜかと申しますと

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制御基板はご覧のとおりプリント基板上に実装された電子回路で構成されているので、巻取機械の電気回路のようにテスターでサクッと調べられる代物ではありません。

そして根本的な問題として、仮に回路構成を解析したところで指令器と制御基板のインターフェース仕様が不明(たぶんシリアル制御?)なので、指令信号を作りだすこともできません。

 

なので、純正の制御基板を利用した方向幕制御は、メーカーの技術者レベルの技量を持った人でないと不可能といえるでしょう。

ネット上にはバーコード式の制御に成功した例がいくつかありますが、少なくとも私が見た範囲では、全ての例で制御方式は純正のものではなく自作されていました。

今の私にはそんな技量は無いし、そもそも仮に作れたとしても「本物の指令器の質感や満足度」には遠く及ばないことは明白で、どっちにしろ純正指令器が欲しくなることは分かり切っているので、そこは潔く諦めます。

 

 

「じゃあ何もできないのか?」と終わらせると記事にならないので、自分でできる範囲で巻取機械を制御する方法を考えた結果、今回は以下のような「簡易指令器」を自作することにします。

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仕組みは単純で、モーターを上下方向に動かすためのスイッチを自作し、手動でモーターの回転を制御します。
これであれば難しいコマ制御は「操作者の頭脳」という、誰にでも標準装備されている処理装置を流用できるので、あとはスイッチの回路を作るだけです。

 

このように手動制御を行うための改造のことを「簡易指令化」と呼んだりします。
モーターの回転方向だけを制御するから「簡易」というわけです。

人気の高い国鉄・JR車両用の巻取機械だと、マニア向けのお店で簡易指令器の完成品が売られたりしています。

 

やることが決まったので、簡易指令器製作に必要な部品を秋葉原で調達します。
その前にぽちフェスに寄ったがために、2万5千円ほど散財・・・)

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最初に訪れたのは電気工作をする人にはお馴染みの千石電商
そのほか秋月電子・マルツ・九州電気を巡って調達したのがこちらです。

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・指令器本体となるアルミケース
・ヒューズ管(2A)とヒューズソケット
・ON-OFF-ONスイッチ
・エッジコネクタ付きユニバーサル基板
・グロメット
・ネオンランプ
・電線類(AWG18)

  

まずはケースを加工します。

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ドリルで下穴をあけ、ヤスリで装着する部品に合わせて穴を拡大します。
部品の現物に合わせて少しずつ穴を大きくすると、綺麗に嵌まります。

今回の工作で一番大変なのはこの作業だと思います。
ケースはプラ製を選んだほうが作業は楽ですが、見栄えや堅牢性までこだわるならアルミ製のほうがいいです。

 

取り付け穴を開けたら、半田ごてを使って配線を行います。

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配線した箇所には、熱収縮チューブを被せて絶縁するとなお良いです。
このチューブを被せたあとドライヤーで加熱すると、チューブが縮んで配線部を絶縁させることができます。

個人的にはこの程度の部品実装密度なら無くても良いですが、手元に熱収縮チューブがたくさんあるのと、内部回路が全てAC100Vなうえ筐体がアルミ製なので、一応被せておきました。

 

ヒューズやネオンランプも配線して、配線作業完了です。

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ご覧のとおり、配線自体は少ないので大したことはありません。

ケースを組み立てて、簡易指令器の製作は完了です。

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なぜだかスイッチが4つありますが、これは個人的な将来対応用です。
京急2000形の側面方向幕用であれば2つで十分なので、ケースも一回り小さくて良いと思います。

  

続いて巻取機械側の配線に移ります。
といっても、私は巻取機械そのものは純正のままで残したい主義なので、バーコード式の巻取機械への配線には、エッジコネクタ付きユニバーサル基板を使用する方法を採ることが多いです。

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右端の棒がいっぱい並んでいる部分が「エッジコネクタ」です。

 

ただ、エッジコネクタ付きであれば何でも良いわけではありません。

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元々刺さっている制御基板と、ピンピッチおよびピン数が同じものを選定しないと使えません。

京急2000形の場合は4ミリピッチ・14ピンのものを選びましょう。
不安な人は、制御基板の現物を持ってお店に行き商品と突き合せれば確実です。

 

基板には穴がいっぱい空いていますが、基板上ではなにも回路を組まないので、エッジコネクタ部分に電線を半田で直付けします。

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黄/白のツイスト線がモーター制御用で、赤/黒のツイスト線がU・Vラインです。
モーターの制御ラインは行先と種別で分かれているので2系統必要ですが、共通端子は蛍光灯のVラインと巻取機械内部で短絡しているので、U・Vラインはどちらかの基板に1系統接続しておけばOKです。

また配線時は棒部分全体に半田付けするのではなく、丸い穴の周辺だけにちょんと載せるように接続してください。

 

配線したユニバーサル基板を、巻取機械の制御基板部分に差し込みます。

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ここでちょっと問題発生。

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半田付けした電線が干渉して、奥まで基板が刺さり切りませんでした。
これが上で「棒部分全体にはんだ付けをしない」と説明した理由です。

 

というのも今回はサンハヤトの「UK-14P-68」を使いましたが、本当はいつも愛用している同じくサンハヤトの「ICB-94T」という電線の配線部分が設けてある基板を買う予定でした。
しかし、秋葉原中のパーツ店を探し回っても「ICB-94T」の在庫が無く、使えそうな基板がこれしかなかったので代用したところ、案の定干渉した次第です。

ただ穴方向1/3程度までに配線を留めれば抜けない程度には刺さるので、私のように毎回抜き差ししてAC100V投入前に抜けが無い状態を確認する運用であれば、実用上問題なさそうです。
半田付けに自信が無い人や、ずっと差しっぱなしにして遊ぶ人は「ICB-94T」のほうがオススメだと思います。

 

以上で今回の工作はすべて完了です。
最終確認を行い、いよいよAC100Vを巻取機械に投入・・・。

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無事に点灯してくれました。
設計には100%の自信があっても、やはり初投入時は緊張します。

 

せっかくなので、工作の成果を動画で公開。

ちなみに今回の動画公開に合わせ、YouTubeに「川崎鶴見鉄道録チャンネル」を開設しました。
現時点では上の動画しか公開していませんが、いずれ撮り鉄時も写真だけではなく動画もちょこちょこアップしたいと思います。

もしよろしければ、チャンネル登録のほどお願いいたします。

 

以上「京急2000形の側面方向幕を電動化する」でした。

 

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