川崎鶴見鉄道録

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方向幕から辿る 東海道線185系の歴史③

前の記事はこちら。 

185引退記念企画「方向幕から辿る 東海道線185系の歴史」。

第3回は90年代後半~2000年ごろの方向幕を取り上げます。

 

90年代後半:東北・高崎線 通勤特急への運用拡大

90年代後半になると、東海道線系統の列車は体系がほぼ完成されたようで、動きはほとんどありません。

その代わり、東北本線高崎線通勤特急群の拡充・改編に伴い、田町区の185系にも運用変更が生じたようです。

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田町区の185系は、東北本線通勤特急「新特急なすの」、高崎線通勤特急「新特急あかぎ」のうち、新宿発着の列車を中心に充当されていました。

しかし「なすの」は、1995年12月改正で東北新幹線の各停タイプへ名称を譲ることになったので「おはようとちぎ」「ホームタウンとちぎ」へと改称、「あかぎ」は時間帯や運転日により「ホームタウン高崎」「ウィークエンドあかぎ」「さわやかあかぎ」と愛称の細分化が進行。

これらの運用変更に合わせ田町区185系の方向幕も、国鉄末期~民営化直後から使用されていたバージョンから、収録内容も大幅に見直しが行われております。

 

というわけで、1995年に製造された方向幕を見てみましょう。

まずは幕の先頭にある種別部分から。

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このバージョンから「踊り子」の列車名表示だけのコマが追加されました。

前回ご紹介したバージョンでは、臨時用途と思われる伊豆高原行が収録されていましたが、定期列車には無い行先の臨時「踊り子」に関しては、列車名を表示する運用に変更されたようですね。

さらに細かい点では「普通」の表示方法が白抜き文字に変わり、「湘南ライナー」の位置が先頭に繰り上げられました。

 

そして今回のバージョンで一番の変化点である、新宿発着の東北・高崎線 通勤特急群のコマの内容。

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ここまで細分化する必要はあるんでしょうか?

素直に「あかぎ」「とちぎ」で良くね?と思うのですが・・・。

 

前述の通り東海道線の列車に関しては運行体系に変化は無かったものの、方向幕的には「湘南新宿ライナー」の表記が明示されるようになりました。

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215系のデザインをそのまま転用したためか、フォントが国鉄仕様ではなく215系E217系などと同様のものになっているのが特徴です。

 

また通勤ライナー群の駅名にも変化が。

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新宿・高尾という中央線の駅名が追加されています。

これは1996年3月改正で、中央線の通勤ライナーであった「おはようライナー高尾」「ホームライナー高尾」にA編成が充当されたことに対応するための変更ですが、「湘南新宿ライナー」と異なり駅名表示のみの仕様となっています。

 

そして特筆なので前橋のコマ。

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写真だとちょっと分かりにくいのですが、なぜか前橋だけ国鉄フォントではなくJR東日本のフォントになっているのです。

幕回しをすると、このコマだけ明らかにフォントが違うので、かなりの違和感があります・・・。

 

さらに普通幕にも見直し。

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国鉄時代の最初期から収録されていた藤沢・伊豆急下田が削除され、なぜか新宿がここにも追加されました。

 

巻取器に取り付けて回してみました。

1:45に登場する前橋のコマだけおかしいのが分かると思います。

 

そしてこのバージョンですが、実は2001年に製作されたものも所有しています。

上のモノが製作されてから6年が経過していますが、一か所だけ変更がありました。

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違和感ありありだった前橋が鴻巣に変更されています。

このころになると、新宿発の「ホームライナー鴻巣」は特急に格上げされ、上野発が残るのみでしたが、基本的に田町区の185系は新宿系統の列車のみで上野系統の列車には入らないので、95年の時点ではホームライナー用の鴻巣表示は削除されました。

ただ2001年12月に「ホームライナー鴻巣」が増発され、それに田町区B編成が充当されることになったため、ここにきて鴻巣が復活したようです。

 

こちらも巻取器につけてみました。

この幕はA編成8号車用の幕なので、踊り子の座席種別が指定席・自由席となっているのも特徴です。

 

以上が90年代後半~2000年ごろの方向幕のお話でした。

次回は2000年代に使用されていた方向幕をご紹介します。